2020 Fiscal Year Annual Research Report
The exploration of novel genes for elastogenesis and application to regeneration of elastic fibers
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18K08280
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
里 史明 星薬科大学, 薬学部, 講師 (10468580)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 弾性線維 / 皮膚線維芽細胞 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
弾性線維の減少は、老化の特徴である皮膚のしわや呼吸機能の低下、血管硬化(血圧の上昇)を招き、最終的に動脈瘤や肺気腫などの生命が脅かされる事態に陥る。これら疾患の予防・治療の有効な手段となり得るため、弾性線維の再生法の確立が渇望されているが、弾性線維は自然に再生することはなく、また、弾性線維形成の詳細な機序も不明なことから人工的な再生も困難を極めている。本研究では、老齢の特徴である細胞外環境の変容、特に「弾性線維の質的・量的な変化」が細胞の遺伝子発現に与える変化を網羅的に解析し、弾性線維再生を可能とする因子の特定を目指した。 独自の弾性線維コートディッシュならびに老化状態を模した分解弾性線維コートディッシュ上で同じ線維芽細胞を倍加倍加レベル(PDL)を55以上となるまで培養し、複製老化細胞を作製した。これら細胞間における遺伝子発現を網羅的に解析した結果、「弾性線維の質的・量的な変動」によって360遺伝子が変動した。これまでの成果から、分解弾性線維上で複製老化を誘導した細胞では、TGF-βに対する反応性が低下することを明らかにしていたことから、TGF-βを処置した複製老化細胞の遺伝子発現変動を解析した結果、640遺伝子に差異があった。両差異遺伝子で共通した遺伝子を抽出し、定量PCRで発現差異が確認できた遺伝子は16遺伝子であった。 同定した差異遺伝子の中で、Wnt 5B、DKK2、LRP6はWntシグナル関連遺伝子であった。これらの弾性線維形成との関りは報告されていないため、上記3遺伝子に関し、老齢由来皮膚線維芽細胞と胎児由来皮膚線維芽細胞における発現を比較したところ、老齢細胞ではDKK2、SFRP2遺伝子発現が顕著に亢進していた。DKK2を処置した胎児由来皮膚線維芽細胞の弾性線維形成は抑制されたことから、Wntシグナルの抑制が弾性線維再生を阻害している可能性が考えられた。
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