2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the role of glycosaminoglycan in cutaneous inflammation of psoriasis and development of new therapies
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18K08282
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武藤 潤 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30338131)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒアルロン酸 / 自然免疫 / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒアルロン酸は皮膚の細胞外基質を構成する主な糖鎖である。ヒアルロン酸合成酵素により合成され、ヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)により様々なサイズに分解される。親水性が強く、水分保持や関節での衝撃吸収などの役割を主なものと考えられてきたが、近年、自然免疫における役割が注目されている。自然免疫においては、微生物由来の分子がToll-like receptorsを刺激し免疫を賦活化するとされるが、近年ヒアルロン酸がホスト由来の生体分子(Damage-associated molecular patterns, DAMPs)として、皮膚の炎症、特に好中球やマクロファージ、樹状細胞の調節において非常に重要であることが明らかとなってきた。乾癬は代表的な炎症性角化症で、角化細胞のターンオーバーの亢進と表皮の炎症を認める疾患であるが、根本的な原因は不明である。近年IL-17などTh17優位の免疫反応が病変部で生じており病態形成に重要であるということが分かってきた。また、Toll-like receptor7のリガンドであるイミキモドを複数回外用することでマウス皮膚に乾癬様皮膚炎を生じる。本研究ではヒアルロン酸分解または合成が、乾癬の病態に及ぼす影響について解明し、さらにこれを新規の乾癬及び関節症性乾癬の治療法として臨床応用へ展開するための研究基盤を確立することが目的である。当該年度においては、ヒアルロニダーゼ1過剰発現マウスを作成したので、これらを用いたイミキモド反復外用乾癬皮膚炎モデルでのヒアルロン酸分解の役割の検討を行って興味深い結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは留学中にヒアルロン酸の分解がDAMPsであることを明らかにするため、 ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ1の条件付き過剰発現マウス(クレリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとの交配により、クレリコンビナーゼを発現する細胞のみ過剰発現するトランスジェニックマウス)を作成した。このシステムを用いて、イミキモド反復塗布による乾癬皮膚炎モデルの実験を施行し、炎症細胞のヒアルロン酸分解に対する動的な反応をin vivoで検討し、ヒアルロン酸分解が乾癬類似病態発症に与える影響を研究した。今後、乾癬の発症機序をより詳細に解明し、新しいヒアルロン酸をターゲットとした臨床応用に展開するための基盤研究としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、乾癬は獲得免疫のみならず、LL37などに代表される自然免疫をつかさどる分子が重要であるという事が明らかになってきた。しかしながら、この点を利用した新しい乾癬の治療法の研究や開発は欠如している。ヒアルロン酸は皮膚に多く存在するが、その治療薬としての役割は細胞外基質として水分を保持する、関節などにおいて衝撃を和らげるクッションの働きをする、など以外は、これまで注目されてこなかった。しかし、申請者らがこれまで発表してきたように、その自然免疫の賦活化に於ける役割は非常に重要であると考えられる。乾癬の治療法として、ヒアルロン酸を利用して自然免疫を調節するという本研究はこの点で非常に特色のある研究である。今後の研究の推進方策としては 1、 乾癬患者病変皮膚またはイミキモド反復塗布乾癬皮膚炎モデルマウス皮膚で、ヒアルロン酸合成酵素、分解酵素などの発現がどのようになっているか、正常コントロールとの比較、および皮膚症状との相関を調べる。 2、ヒアルロニダーゼ1過剰発現マウスでの乾癬皮膚炎病態モデルを用いて、ヒアルロン酸分解の役割を解明する。 3、 乾癬の病態におけるキープレイヤーである樹状細胞におけるヒアルロン酸合成、分解による自然免疫調節機構を明らかにする。 これらの解明と、ヒアルロン酸の乾癬治療への臨床応用へ向けた基盤作成を試みる。医療用に使用されるヒアルロン酸は長期に使用しても副作用の少ない薬剤として知られており、慢性に症状を繰り返す乾癬の治療薬として確立されれば、その意義は大きい。
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Causes of Carryover |
昨年度に愛知医科大学皮膚科より愛媛大学皮膚科に転勤した。 愛知医科大学より愛媛大学へ直接マウスを移動することができなかったため、体外受精によるトランスジェニックマウスの作成及びクレリコンビナーゼマウスとの交配繁殖に時間を要した。このマウスに関する経費については、他のプロジェクトでも同マウスを使用したことから、その研究費によりの支払いが行われた。また、当該年度における実験は愛媛大学皮膚科共用物品等を使用することより施行された。 使用計画としては予定している実験のための物品費として次年度に使用する。
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