2019 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病の病態を反映するらい菌RNAマーカーの解析
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18K08285
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮本 友司 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40392328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンセン病は、発展途上国を中心に依然として年間20万人余りの新規患者が発生している。治療には多剤併用療法等が導入されているが、起因細菌であるらい菌 (Mycobaterium leprae) は人工培地で増殖しないため、培養試験等による治療効果や病態の判定は不可能である。従って、現状、これらを的確に評価する手法は確立されていない。本研究では、らい菌RNAの動態に着目し、その解析を通じて判定手法開発へと繋がるRNAマーカーの同定を目的とした。当該年度は、昨年度に引き続きヌードマウス足蹠内で増殖させたらい菌のRNA-seqを実施する一方で、ncRNAを除いた遺伝子の中でRNA転写量の多い遺伝子に注目し解析を行った。らい菌を薬剤で処理した後、全遺伝子RNAの動態変化を網羅的に解析した結果、発現が大きく変化している遺伝子群の中に、特定の代謝系や機能的なカテゴリーに属する集団を見出すことは出来なかったが、転写量が豊富な遺伝子の中に、処理によって転写量が著しく減少する複数の遺伝子を同定した。ハンセン病患者の皮膚組織中のらい菌RNAから生存度を評価する際には、十分量のRNAを回収し、個別のRNAをqRT-PCR等により解析する必要がある。らい菌内で豊富にRNAが転写されている遺伝子群の中に、薬剤により転写量が大きく変化するものが含まれていたことは、生存度と関連するRNA量の評価法を開発する上で重要な意味を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
らい菌のRNA解析により、薬剤の影響を受けて発現量が変化する遺伝子群の中に臨床応用への可能性を持つ遺伝子を見出すことが出来たことから、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定した候補遺伝子について、患者検体内のらい菌でそれらのRNAがどのとうに変化しているかを評価する。また、らい菌RNAの動態が、他の抗酸菌とどのような違いがあるのかについても検討する。
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Causes of Carryover |
理由:らい菌の取得量が少なく、遺伝子解析の検体量が予定よりも減少したため 使用計画:次年度はらい菌の量、検体量を計画よりも増やし、遺伝子解析を頻繁に実施する。
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