2023 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of M. leprae RNA markers reflecting the pathogenesis of leprosy
Project/Area Number |
18K08285
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮本 友司 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (40392328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハンセン病 / らい菌 / 抗酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンセン病は、末梢神経障害を引き起こす抗酸菌感染症であり、依然として途上国を中心に全世界で年間約17万人の新規患者が発生している。ハンセン病の病原体であるらい菌 (Mycobacterium leprae) は、人工培地での増殖が不可能であるため、薬剤治療の効果を培養試験などにより評価することは現状困難である。本研究では、治療効果と関連するらい菌の生存度に注目し、生存度と連動するRNA(遺伝子発現)の動態解析を通じて、らい菌の生存度及びハンセン病の治療効果判定法の開発へと繋がるRNAマーカーの同定を目的とした。 これまでに、らい菌を接種したヌードマウスに薬剤を投与した結果、一部のらい遺伝子の発現動態に著しい変化が生じることを明らかにしている。当該年度は、それらの発現動態について詳細な解析を実施した。薬剤投与によりその発現が亢進した遺伝子群を解析すると、変化の度合いが高い遺伝子群の中に機能不明の偽遺伝子が多く含まれる傾向が観察された。一方、発現量が減少した遺伝子群の中には生命維持に不可欠な機能と関連する遺伝子群が偏在していた。 らい菌に対して殺菌的な薬剤が作用することにより、らい菌の生存度が低下することが予想される。研究期間全体を通じて、らい菌の生存度の低下を反映するRNAマーカーの同定を目指し、in vitro(動物から取り出したらい菌)及びin vivo (動物内で増殖中のらい菌)において殺菌的薬剤を作用させRNAの動態を評価した。その結果、様々なカテゴリーに属する一部のらい菌遺伝子群が発現量を大きく変化させていることが判明した。さらに、これらの中には、発現量が比較的多いものも含まれていた。この結果は、変化の幅が大きくまたその変化を補足し易いという面において、らい菌遺伝子の中に生存度及び治療効果を的確に判定し得るマーカーの候補分子が存在する可能性を示している。
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