2019 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性皮膚疾患における転写因子IRF3を介する自然免疫シグナルの役割の解明
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18K08304
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
峠岡 理沙 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80464585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 真由美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60398386)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚炎 / アレルギー / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚はアレルゲンや病原体などの様々な外的因子にさらされており、これらの刺激によりアレルギー炎症が生じ、掻破などにより皮膚炎の慢性化・難治化が生じる。したがって、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性皮膚疾患の病態形成を解明することは非常に重要な課題であるが、その分子機構はいまだに解明されていない点が多い。本研究者はこれまでにアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性皮膚疾患の発症および慢性化における病態の解明を一貫とした研究テーマとして取り組み、アレルギー性皮膚炎の病態におけるTLR3の役割を解明した。本研究は、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性皮膚疾患の病態形成におけるToll様受容体(TLR)-interferon regulatory factor 3(IRF3)シグナル-表皮由来サイトカイン(IL-33・TSLPなど)を介した機序を明らかにするとともに、アレルギー性皮膚疾患の新たな発症予防法と治療法の開発に貢献することが目的である。IRF3ノックアウトマウスを用いた急性および慢性アレルギー性皮膚炎の解析を行うことによって、上記の目的を達成することを目指している。マウス耳介皮膚のハプテン単回あるいは1-4週間の反復塗布を行うことにより、急性接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎などの病態に類似した慢性アレルギー性皮膚炎を誘導するマウスモデルを用いて検討した。その結果、IRF3-欠損マウスでは野生型マウスに比べて、急性および慢性アレルギー性皮膚炎および刺激性皮膚炎での皮膚の炎症反応が有意に増大することを見出した。IRF3シグナルはアレルギー性皮膚疾患においても、その病態において制御する役割をもつ可能性が考えられる。今後さらにIRF3の役割を明らかにすることで、IRF3シグナルを活用した炎症性疾患の新たな発症予防法や治療法の開発を行うことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、急性接触皮膚炎およびアトピー性皮膚炎などの病態に類似した慢性アレルギー性皮膚炎を誘導するマウスモデルに加えて、非アレルギー性刺激性皮膚炎マウスモデルを用いて、IRF3-欠損マウスでの炎症反応を評価することが目標であったため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IRF3シグナルがアレルギー性炎症を増強すると考えられる病態モデルにおいて、IRF3の阻害剤やsiRNAを用いて、IRF3シグナルの阻害によるアレルギー性皮膚炎への効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
使用予定の試薬の納品が翌年度になったため。
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Research Products
(3 results)