2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of hematopoietic niche in hematologic malignancy
Project/Area Number |
18K08316
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
錦井 秀和 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30512834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 貴康 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20646591)
日下部 学 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40804381)
小原 直 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70422178)
横山 泰久 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70512820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 造血ニッチ / 造血器腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
MLL-AF9融合遺伝子を導入した造血幹細胞を連続移植して作製したAMLマウスモデルで、AML骨髄環境における正常造血システムへの影響、正常造血巣の機能解析を行なった。このマウスは放射線などの前処置を行うことなくAMLを発症し、正常造血巣が破壊され造血不全死するが、腫瘍細胞の増殖がおきる前に血小板減少症が顕著におきるため、単純な腫瘍細胞増殖に伴う正常造血巣の減少のみならず、何らかの正常造血システムの機能異常を誘導していることが示唆された。このマウスから残存造血幹細胞、間葉系幹細胞、傍血管間質細胞、血管内皮細胞を単離し、遺伝子発現解析を行なった。その結果、1.残存正常造血幹細胞の分化能は、発症早期はむしろ巨核球・血小板産生能の亢進がみられ、その後腫瘍細胞の増殖につれて造血幹細胞機能は数的・機能的に低下していく。2. RNAシークエンスでも有意な巨核球・血小板分化関連遺伝子の発現上昇を認め、残存造血幹細胞は、Megakaryocyte-biased HSCの比率が増加していることが示唆された。次に造血ニッチ細胞の解析を行なった。MLL-AF9 AML細胞は複数の炎症性サイトカインを正常組織と比較し有意に発現、分泌していることがRNAシークエンスの結果から明らかとなり、その結果造血ニッチ細胞の機能障害が誘導されると仮説を立て、各造血ニッチ細胞のRNAシークエンスを行なった。CXCL12、Kit Ligandなどの複数の造血支持因子の有意な低下を特に傍血管間質細胞で認めた。傍血管間質細胞が、これらの造血支持因子のMajor sourceであることが、先行研究で明らかになっていることから、この異常が残存正常造血幹細胞の機能異常の一因になっている可能性が示唆された。現在その詳細を解析中しAMLの造血不全の治療標的を探索している。
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