2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床データ解析による臍帯血移植成績向上のための国際標準アルゴリズム確立
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18K08325
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諫田 淳也 京都大学, 医学研究科, 助教 (30636311)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 臍帯血移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
臍帯血移植は、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と比較し、移植片に含まれるCD34陽性細胞数は1/10程度と少数であるのにも関わらず、生着が得られる。また、HLA不適合抗原が3座6抗原のうち2抗原以内であれば、重症GVHDの発症リスクを増加させることなく実施可能であり、HLA適合ドナーが見出せない場合の、代替移植ドナーとして非常に有用である。しかし、臍帯血移植は他の移植ソースと比較し、感染症などの移植後早期の合併症の頻度が高いという問題点があり、その克服が必要である。各国において予後予測因子の解析が行われているが、欧米と日本では臍帯血移植の成績は異なるため、その結果の外挿性が障壁となっている。 外挿性に関する問題点を解決するため、まず、欧州骨髄移植学会および欧州臍帯血研究施設であるユーロコードと日本造血細胞移植学会・日本造血細胞移植データセンターとの共同研究基盤を確立した。そして、欧州および日本のレジストリーデータに収集されている臨床データの各項目を詳細に検討し、会議を通じて、各レジストリーデータの変数および統合用変数のdictionaryを作成した。そのdictionaryに従い、両レジストリーの急性白血病に対する臍帯血移植の統合データセットを作成した。統合した造血幹細胞移植のデータセットにおいて、患者と臍帯血のHLA適合度、臍帯血有核細胞数、各施設の移植経験数、性別、移植年代、GVHD予防法、その他、様々な背景因子が移植成績に及ぼす影響に関して解析を行い、両レジストリーデータの移植成績に影響を及ぼす因子の類似点、相違点を明らかにした。その結果に関して、欧州骨髄移植学会や日本血液学会にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も大きな課題であった、欧州骨髄移植学会・ユーロコードと日本造血細胞移植学会の急性白血病に対する臍帯血移植データの統合が行えたことは非常に大きな第一歩である。 またその統合データを用いて、各レジストリーデータ内で臍帯血移植成績に影響を及ぼす因子の比較を行い、HLA適合度や臍帯血有核細胞数が移植成績に与える影響に関して検討できたことは評価に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
レジストリーデータ統合解析の次は、保存サンプルの統合解析を目指しており、今後は、利用可能な検体を用いて、HLA-A,-B,-DRB1座のみならずHLA-C,-DPB1,-DQB1座のタイピングを行うことや、HLA抗体が生着に及ぼす影響などの検討を予定している。またKIR不一致が移植成績に及ぼす影響を明らかとするためKIR typingの検討も課題である。その他、HLAハプロタイプの推定およびハプロタイプの種類が移植成績に及ぼす影響を明らかとすることも重要である。また、各レジストリーデータにおいて、急性および慢性GVHDが移植成績に及ぼす影響を詳細に解析することも予定している。
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[Presentation] Prognostic factors for adult single cord blood transplantation among European and Japanese populations: the Eurocord/ALWP-EBMT and JSHCT/JDCHCT collaborative study.2018
Author(s)
Kanda J, Hayashi H, Ruggeri A, Kimura F, Volt F, Takahashi S, Labopin M, Kako S, Tozatto-Maio K, Yano S, Sanz G, Uchida N, Van Lint M , Kato S, Mohty M, Milpied N, Kanamori H, Sierra J, Ohno Y, Saccardi R, Fukuda T, Ichinohe T, Takanashi M, Okamoto S, Nagler A, Atsuta Y, Gluckman E.
Organizer
44th Annual Meeting of the EBMT.
Int'l Joint Research
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[Presentation] 欧州と日本における成人単一臍帯血移植における予後予測因子:Eurocord/EBMTとJSHCT/JDCHCTの国際共同研究.2018
Author(s)
Kanda J, Hayashi H, Ruggeri A, Kimura F, Volt F, Takahashi S, Labopin M, Kako S, Tozatto-Maio K, Yano S, Sanz G, Uchida N, Van Lint M , Kato S, Mohty M, Milpied N, Kanamori H, Sierra J, Ohno Y, Saccardi R, Fukuda T, Ichinohe T, Takanashi M, Okamoto S, Nagler A, Atsuta Y, Gluckman E.
Organizer
第80回日本血液学会学術集会.