2018 Fiscal Year Research-status Report
血小板インテグリン活性化ダイナミクスを制御する分子機構の網羅的解析
Project/Area Number |
18K08327
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 恒 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20705214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 浩和 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10432535)
冨山 佳昭 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80252667)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血小板 / インテグリン / 血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では心筋梗塞、脳卒中などの動脈血栓症に関与する血小板機能、特にフィブリノゲン受容体インテグリンαIIbβ3の活性化機構を明らかとすることを目的としている。αIIbβ3は血小板同士が凝集し血栓を形成するために必須の受容体であるが、実験手法の限られる血小板では細胞内シグナル詳細の検討が困難であり、αIIbβ3がどういった機構で活性化し、フィブリノゲンへの親和性を高めるのか分かっていない。これまで我々が報告してきた血小板機能異常症の症例より「速やかで持続的」なαIIbβ3活性化が重要であるという点に着目し、αIIbβ3活性化機構を解明するために、アゴニスト刺激後に血小板内で生じるタンパクリン酸化状態の変化についての解析を行った。阻害剤で処理を行った健常人血小板、または症例から得られた血小板について、アゴニスト刺激後に質量分析を用いて血小板内タンパクのリン酸化状態のショットガン解析を施行した。これにより得られた数千のペプチド断片についての情報を現在解析中である。 また、同時に血球系細胞株を用いた検討を行い、αIIbβ3を発現したCMK細胞、HEL細胞などでアゴニスト刺激によりαIIbβ3の活性化が得られる実験系を確立した。細胞株を用いた検討では血小板で行うことができない遺伝子導入ができるため現在は既知のαIIbβ3活性化に関与するタンパクの機能をさらに明らかにするための検討を行っている。 これらの検討でαIIbβ3活性化に重要なタンパクを特定し、αIIbβ3の活性化キネティクスを制御可能とする機構を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた血小板タンパクリン酸化状態の測定が施行できている。これらの再検討は必要であるが、次年度の計画に移行するための準備が行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析によって得られた膨大なタンパクの情報からαIIbβ3活性化に大きく関与するタンパクを絞りこみ、細胞株での実験による作用の確認を行っていく。候補分子の遺伝子改変マウスの利用、作製も考慮し、生体内における作用についても確認していく予定である。
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