2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性移植片対宿主病における単球・マクロファージの役割の解明
Project/Area Number |
18K08328
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前田 嘉信 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60403474)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫学 / 慢性移植片対宿主病 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ly6C- CD11c+ 単球の慢性GVHDにおける役割 慢性GVHDマウスモデルにはマイナー抗原不一致のドナーBalb/c → レシピエントB10.D2の系を用いた。移植後経時的に脾臓、リンパ節、組織中のLy6C+ CD11c- 単球とLy6C- CD11c+ 単球の増減をFACSにて解析し、B10.D2 → B10.D2のsyngeneic移植をコントロールとして比較した。 フルーサイトメトリーの解析の結果、皮膚、肝臓でLy6C- CD11c+ 単球が慢性GVHD発症時に増加していることを明らかにした。続いて SatM(Segregatd-nucleus-containingatypical monocytes)の頻度を検討した結果、脾臓における割合ではsyngeneic移植コントロールと比べ有意な差を認めなかった。一方、気管支肺胞洗浄液BALF中ではLy6C- CD11c+ 単球および、Satが同種移植群で明らかにその割合が増加していることが明らかとなった。以上からLy6C- CD11c+ 単球およびSatMが 慢性GVHDモデルにおいて何らかの役割をしていることが示唆された。 C/EBPbをノックアウトしたCebpbn-/-マウスは血液細胞のSatMが欠損しているが、胎生期に死亡する。この問題を回避するためにあらかじめ胎児肝をsyngeneicのマウスに移植したキメラマウスを作成した。このキメラマウスは血液細胞のみCebpbn-/-マウス由来であり、長期に生存するが、血液細胞を調べたところ、Ceacam1+, MSR1+をマーカーにSatMが欠損していることを確認した。今後はCebpbn-/- キメラマウスの細胞をドナーに使用し、慢性GVHDモデルにおいて何らかの役割を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス慢性GVHDモデルで得られた結果、気管支肺胞洗浄液BALF中ではLy6C- CD11c+ 単球および、Satが同種移植群で明らかにその割合が増加していること、さらに、以上からLy6C- CD11c+ 単球およびSatMが 慢性GVHDモデルにおいて何らかの役割をしていることが示唆されたことは当初の仮説通りである。おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、血液系細胞のC/EBPbをノックアウトしたCebpbn-/- キメラマウスは、血液細胞のSatMが欠損しているが、このCebpbn-/- キメラマウスをドナーに使用することにより、慢性GVHDの線維化が抑制されるかを検討し、SatMの慢性GVHDにおける役割を明らかにする。さらに、合成レチノイドAM80が慢性GVHDを軽減する効果に単球・マクロファージの表現型・機能にどのように影響するかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予定した実験の回数が少なくて本年度の結果が得られたため、次年度の研究の準備を行ったが、それでも使用予定より少ない結果となった。 繰り越し分は、キメラマウスの細胞を使い、SatMが慢性GVHDモデルにおいて何らかの役割をしているかを検討する実験に使用をする計画である。
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