2020 Fiscal Year Research-status Report
EPCRに結合するモノクローナル抗体による重症性マラリア治療法の開発
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18K08333
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
福留 健司 佐賀大学, 全学教育機構, 教授 (50284625)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテインC / マラリア / 血管内皮 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的なマラリアはスカベンジャー受容体であるCD36に結合して感染するが、重症マラリアは血管内皮プロテインC受容体(Endothelial Cell Protein C Receptor: EPCR)を受容体として利用している。 マラリア原虫が結合することで血液凝固制御が不可能になり、幡種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation: DIC)を引き起こして死をもたらす。プロテインCは主要な血液凝固因子であるが、血中ではセリンプロテアーゼ前駆体として循環している。 この分子が凝固制御活性を発揮するためには、血管内皮上で活性型のセリンプロテアーゼに変化される必要がある。 この活性化反応に必須である血管内皮上の機能異分子がEPCRである。 我々は、この分子に対するモノクローナル抗体を400種以上作成した。 その中に、特に高親和性でヒトのEPCRに結合するラットモノクローナル抗体を特定した。 この抗体は、EPCRに特異的に結合はするが、この分子の主要な生理機能の一つであるプロテインCの活性化反応には影響を与えない。 従って、この抗体が血栓凝固制御に必須の工程であるプロテインC活性化反応を維持しつつ、重症マラリア感染を阻止する可能性がある。 本計画では、この抗体の特性を維持したヒト化抗体を作成して、重症マラリアの治療薬への応用を試みるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットモノクローナル抗体の可変部のクローニング、配列決定を行った。 この情報をもとにヒト化モノクローナル抗体の発現ベクターを作成し、ヒト腎臓由来のHEK293細胞にトランスフェクションを行い、安定的にリコンビナント抗体を産生する細胞株を樹立した。 無血清培地で培養を行い、その培養上清から高純度の抗体を調整することができたので、今後機能解析をおこなっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト化抗体の結合特製の解析と、プロテインC活性化反応への影響を解析する。 問題なければ、マラリア感染の阻止効果を検討する。
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Causes of Carryover |
作成したヒト化抗体の機能解析は、共同研究先のWayne State Universityの装置類を使用する必要があるが、コロナの影響で渡米の時期が遅れたため。
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