2019 Fiscal Year Research-status Report
TFL発現異常による免疫制御の破綻が引き起こすがん病態悪化機構の解明
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18K08356
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
皆川 健太郎 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80432574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若橋 香奈子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40817178) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TFL / Zc3h12d / Regnase / 転写後調節 / リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は独自に開発したFISH法(特許5354484号)やモノクローナル抗体による免疫染色でTFLの欠失によるDLBCLの悪性化機構を予想した。 TFL発現がDLBCLの予後に関わるかの検証を臨床的に試みるため、西脇病院と姫路赤十字病院の協力の下、ヒト検体を用いて、TFLのリンパ腫における発現の検討を行った。免疫染色に使うTFL抗体は申請者らが独自で作成したものを使用した。倫理委員会承認後、100例のDLBCL患者症例の免疫染色を新たに行った。評価表を作成し、病理医と血液内科専門医の計3名で評価を行った。これまでのTFL免疫染色結果同様、判定は評価者によってばらつきが認められた。評価者3名がほぼ一致した症例は約1/3にとどまった。 この陽性と陰性の確定症例30例につき、生存率と無病生存率を検討したところ、予想とは反対にTFLの欠損している群において予後良好である傾向が認められた。これに関しては以下の要因が考えられる1)TFLの染色の評価にばらつきがある理由として、TFLが濾胞間に染まっている場合と濾胞そのものに染まっている場合があり、それぞれのタイプに分けて検討する必要がある。2)細胞内の染色様式も薄く細胞質全体に染まる場合、細胞膜のみに染色されている場合、核内のみの染色などばらつきがあるため、それぞれの検討を行う必要がある。3)TFLの欠損によりサイトカイン産生など腫瘍免疫に影響を与える結果、予後改善につながる。4)別のリンパ腫病態では結果が異なる可能性がある。5)DLBCLのサブタイプについては検討しておらず、それにより結果が異なる可能性がある。 以上の可能性を踏まえて、今後病理検討の症例数を増やして、更なる検討を考えている。 また、TFL欠損リンパ腫モデルマウスを利用してそのメカニズムの究明も行う。 マウス研究において得られた知見は2019/5/17 The 10th JSH International Symposium 2019 (伊勢、志摩)において発表を行い、優秀ポスター賞に選出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色による結果は当初の予想とは異なったが、染色結果にばらつきが認められたことより、今後詳細な検討を行うことで、ばらつきの原因を修正して、再検討を行いたい。また、検討数も、比較的少ないため、引き続き各病院の協力を得ながら、症例数の増加に勤める。また、染色パターンが異なることにも着目して、それぞれのパターンにおける特徴を見出していく。 今までTFLに関する腫瘍の予後解析の報告は少なく、また、リンパ腫における検討は今回が初めての検討である。そういった意味において、本研究は有意義であり、引き続いて検討を行っていく価値があるものと思われる。TFL欠損リンパ腫モデルマウスの検討も論文作成段階にあり、昨年度は学会発表も行っている。これらを合わせて検討することで、リンパ腫の病態が、今後ますます明らかになっていくものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果を踏まえ、今後、今まで得られた結果を確認していくとともに、新たな仮説をいくつか提唱することで、新しい研究の展開を期待できる。また、リンパ腫も出るマウスは別のサブタイプのリンパ腫であるため、別のサブタイプのリンパ腫でのTFL染色程度と予後との相関についても検討課題となる。 近年TFLファミリー分子のRegnase-1の研究も盛んであり、それらの知見と合わせて、今後の研究の方向性を決定していきたい。またTFL分子そのものの研究も新展開を見せており、各分野からの共同研究も増えていくと思われる、そういった中、我々が特許を所有するFISH法によるTFLの欠損状態の判定法やTFLモノクローナル抗体、TFLノックアウトマウスの有用性はさらに高まっていくものと思われる。
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Causes of Carryover |
次年度は引き続き本研究の継続を行う。計上した予算は実験用具の購入や動物施設利用料などに用いられる。また論文作成、投稿などを行う予定でありその費用も必要である。また、それにともなって、学会発表や、意見交換、ミーティングなどの海外渡航費なども必要になってくる。それらを勘案し使用額を算出した。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] TFL Deletion Induces Incredible CXCL13 Secretion and Cachexia in Vavp-Bcl2 Transgenic Mice2019
Author(s)
Yoshio Katayama, Kentaro Minagawa, Kanako Wakahashi, Chie Fukui, Shinichiro Nishikawa, Noboru Asada, Yuko Kawano, Hiroki Kawano, Tomohide Suzuki, Shinichi Ishii, and Toshimitsu Matsui
Organizer
The 10th JSH International Symposium 2019
Int'l Joint Research