2020 Fiscal Year Research-status Report
TFL発現異常による免疫制御の破綻が引き起こすがん病態悪化機構の解明
Project/Area Number |
18K08356
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
皆川 健太郎 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80432574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若橋 香奈子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40817178) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | TFL / Zc3h12d / Regnase / 転写後調節 / リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はRNA 制御分子であるTFLを発見し、ノックアウトマウスを作成、炎症性サイトカインを通じ自己免疫疾患に関わることを見出してきた。リンパ腫モデルマウスとの交配では、TFL欠失群に炎症増強による病態が観察された。遺伝子網羅的解析でケモカインCXCL-13の上昇が病態の一因であることを確かめた。モノクローナル抗体による免疫染色でTFL発現がDLBCLの予後に関わるかの検証を行った。100例のDLBCL患者症例の免疫染色を行い、アウトカムを検討したところ、TFLの欠損している群において予後良好である傾向が認められた。同様の構造を持つRegnase-1も肺がんのコホートにおいて欠損群では有意に予後が改善しており、サイトカイン制御においてTFL欠失が生存に有利に働く可能性が考えられた。今後、症例数を増やして結果を確認する。また、CXCL-13はangioimmunoblastic T cell lymphoma などのリンパ腫において臨床診断のマーカーとなっており、B細胞リンパ腫だけでなくT細胞リンパ腫にもターゲットを広げて検討を行っていく。マウスを利用した研究は2018年のアメリカ血液学会にて発表された。また2019年には the JSH International Symposiumにおいて優秀ポスター賞に選出された。本研究は神戸大学の学術・産業イノベーション創造本部の発明評価委員会にて独自に開発したFISH法(特許5354484号)の特許の維持がされており、今後臨床応用の期待が高まっている。近年、RGNASE-1を標的とすることにより、CD8+T細胞が、強固なエフェクター機能を持つ長寿命のエフェクター細胞に再プログラムされることが報告されており、TFLとともに、これらのRNA制御分子の臨床応用も進んでいくと思われ、それに向けた新たな研究プロジェクトを計画中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は予定通り、臨床研究が行われ、本研究期間内に一定の成果が得られると考えられていたが、COVID-19の影響を受け、一時的に研究が中断せざるを得なくなり、また研究者同士のの対面での打ち合わせができなかったことにより論文作成、投稿が遅れている。またマウスの研究に関しても神戸大学血液内科の大学院生 の協力により、鋭意進められてきたが、同様の理由によりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究予定にあるように、臨床検体を用いた研究の詳細をまとめ、更に発展させると同時に、論文作成にも力を注いでいく。
|
Causes of Carryover |
次年度は論文投稿に伴う追加実験など新たな実験も予定しており、必要経費が当初の予定とは異なり次年度に経費が必要となってきている。そのため次年度の使用額を上記のように提示した。これらの経費は主に動物実験、論文投稿費、渡航費などに用いられる予定である。
|