2018 Fiscal Year Research-status Report
Aza-dCによるMDS患者の貧血改善における翻訳調節機構の関与
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18K08357
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長町 安希子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20585153)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨髄異形成症候群(MDS)で汎用されるDNAメチル化阻害薬、アザシチジン(Aza)がMDSの貧血を改善するメカニズムを明らかにすることを目的に、検討を進めた。K562細胞株にAza-dCを処理し赤血球に分化させるシンプルな実験系を用いたこれまでの検討から、Aza-dCがいくつかの翻訳関連因子の発現を調節し、赤血球への分化を誘導することが推測されている。特に、蛋白合成を促進する翻訳伸長因子のひとつであるeEF1A2のプロモーター領域がほぼ完全に脱メチル化されて発現が優位に増加することから、今年度はeEF1A2の赤血球分化における役割を明らかにするため、eEF1A2遺伝子改変マウスを用いたin vivoの系での検討を進めた。eEF1A2欠損マウスは神経変性と筋肉萎縮により生後4週以内に死亡するため、eEF1A2欠損マウス由来の骨髄細胞を放射線照射したレシピエントマウスに骨髄移植し、貧血の有無について継時的に調べたところ、移植5ヶ月後でも末梢血のヘモグロビン値と赤血球数は正常で、造血能の低下は認められなかった。加えて、新規標的遺伝子を探索する目的でAza-dC処理したK562細胞のATAC (Assay for Transposase-Accesible Chromatin)-seqを行い、変動するオープンクロマチン領域の抽出を試みた。これまでに行った、Aza-dC処理したK562細胞のRNA-seq発現データの解析結果とを組み合わせ、特に翻訳関連因子を中心にAza-dCで重要な役割を果たす因子の同定を進め、いくつかの候補遺伝子の抽出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた実験が細胞株を使用するシンプルな実験系であることと、大学構内で次世代シークエンスのサンプル処理と解析できる設備環境と人材が整っていたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
eEF1A2はAzaの直接標的因子である可能性が高いと推測していたが、改変マウス由来のeEF1A2欠失造血細胞の赤血球分化能には違いは認められなかった。マウスの骨髄細胞におけるeEF1A2の発現量は、ホモログであるeEF1A1が優位であることが報告されているため、マウスとヒトの造血細胞におけるeEF1A1/A2の発現比の詳細な解析を行う。また、造血細胞特異的な後天的eEF1A1欠損マウスを作製し、eEF1A2遺伝子欠損マウスとの掛け合わせ実験を行い、マウス生体内での赤血球分化における翻訳開始因子eEF1A1/A2の生理的な役割を検証する。加えて今年度行った、Aza-dC処理したK562細胞のATAC-seqにより抽出した候補遺伝子の解析を進める。RNA-seq発現データとDNAメチル化解析の結果と照らし合わせ、また細胞株への過剰発現実験などを行い、候補遺伝子を絞り込む。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会への参加を見合わせたことによる。繰り越した助成金はマウス作製実験に使用する。
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Research Products
(1 results)