2019 Fiscal Year Research-status Report
Targeting circadian clock genes in leukemia treatment
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18K08362
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沼田 晃彦 九州大学, 大学病院, 助教 (60423563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊繁 吉謙 九州大学, 医学研究院, 講師 (40619706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MLL融合タンパク / 概日リズム遺伝子 / 白血病発症 |
Outline of Annual Research Achievements |
MLL融合タンパクは少数の標的遺伝子を正に調節することで、白血病発症に関与している。2018年度は、その中の一つ、MLL-AF6の標的遺伝子の中に、SHARP1があることを明らかにした。また、SHARP1がMLL白血病の、発症・病態に重要であることが、細胞株を用いた実験で明らかとなった。2019年度は、以下のことが明らかとなった。 (1) 概日リズム因子の発現調節機構: MLLタンパクは巨大なタンパク複合体を形成しており、概日リズムタンパクもその1つであることが示されいる。そこで、タンパク免疫沈降実験で、MLL抗体で沈降させたMLL-AF6タンパクのなかに、概日リズムタンパク SHARP1があることわかった。MLL変異タンパクを強制発現させた細胞内では、MLLタンパクのC末端にSHARP1が」結合することが明らかとなった。この結果は、MLL-AF6がSHARP1を標的遺伝子の転写調節領域にリクルートし、新たな転写伸長機構を獲得していることを示唆している。 (2) 概日リズム因子の白血病発症・維持機構での役割: ChIPシーケンスを用いて、ゲノムワイドのSHARP1の結合部位の詳細を明らかにした。Gene Ontology解析で、細胞生存に必須の生物学的機能(代謝、細胞周期、リボゾーム機能)を担う蛋白をコードする遺伝子のプロモーター領域(H3K4トリメチル化と共にエンリッチされている領域)に結合していることがわかった。MLL-AF6白血病細胞株はSHARP1を強発現することで、SHARP1依存性を獲得していることが示唆されました。これらのSHARP1により正に調節されている遺伝子群は、SHARP1ノックダウン実験により低下することも確認され、ChIPシーケンスの結果を裏付けるものでした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間を要したが、白血病細胞株、マウスを用いた実験を複数回終了し、得られたシーケンスデータの解析を行った。異なる実験系ではあったが、一貫した結果が得られたため、当初の仮説の正当性を証明することができた
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Strategy for Future Research Activity |
概日リズム遺伝子の中で、SHARP1がMLL-AF6白血病の病態に関わっていることが明らかとなった。重要な働きは遺伝子発現を正に制御する転写因子としての役割であることが示唆された。そこで、この転写調節機構を治療標的とするために、SHARP1に結合するタンパク群を明らかにし、治療標的となる因子の同定を行う。具体的には、MLL-AF6白血病細胞株を用いて、SHARP1抗体を用いて質量分析 (IP-MS: Immunoprecipitation - Mass Spectrometry)を行う予定である。そこで同定された蛋白の中から、治療標的となるタンパクを見つけ、その機能や結合を阻害できる化合物の同定を目標とする。
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