2019 Fiscal Year Research-status Report
TGFbシグナル抑制分子CD109の造血における機能解析
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18K08371
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
鈴木 隆浩 北里大学, 医学部, 教授 (40345210)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄造血 / CD109 / TGFb |
Outline of Annual Research Achievements |
CD109分子はTGFbシグナルのnegative regulatorとして知られているが、造血器系における発現および役割はほとんど解析されていない。そこで、今年度はマウスを用いて血液細胞におけるCD109発現を解析した。その結果、マウスにおいてCD109は脾臓におけるごく一部の成熟Bリンパ球に発現しているのみであり、骨髄未分化造血細胞(KSL, MEP, GMP, CMP, CLPなど)においては発現が認められないことが明らかとなった。過去の小数のレポートでヒト骨髄におけるCD109発現が報告されているため、マウス非発現という結果は極めて意外なものであったが、再解析を行っても同様の結果が得られたため、マウスとヒトにおいて造血細胞のCD109の発現は大きく異なることが明確となった。 このため方針を一部修正し、CD109ノックアウトマウスにおける解析を行う方針としていたが、現時点ではB細胞の表現形質や免疫能に目立った変化は認められない。このためマウスにおけるCD109の機能解析については明確な結論が得られていない。 一方、本研究では造血器疾患患者におけるCD109の意義を検討するために、患者血清における可溶性CD109の測定を行う計画としており、予定通り委員会承認を得て患者検体の収集と解析を開始しており、健常人を含めて既に10例以上の検体を収集している。未だ解析には十分な症例数が収集されていないが、一部の疾患にCD109高値例が存在することが判明している。来年度も検体の収集を継続し、解析を継続する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD109ノックアウトマウスを既に作成しているため、本マウスを用いてTGFbシグナル抑制因子であるCD109の造血における生理的・病理学的機能を解析する方針であったが、マウス骨髄を詳細に解析した結果、マウス骨髄未分化造血細胞にはCD109は発現していないことが判明した。ヒトにおいてはCD109の骨髄未分化造血細胞での発現が確認されているため、この事実は想定外のものであった。そこで、その他の血液細胞を含めて改めてCD109の発現を検討したところ、成熟B細胞にはCD109が発現しており、何らかの機能を持つ可能性が示唆された。このため、今後の研究はCD109の免疫系における役割解析を行うことを中心に、ノックアウトマウスの解析を行うこととし、ノックアウトマウスのリンパ球について検討を開始した。 一方、臨床検体の収集は当初検体の確保に手間取ったが、その後は比較的順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス未分化骨髄細胞におけるCD109非発現という結果を受け、今後はリンパ球系におけるTGFbシグナルの制御などについてCD109の機能解析を行う方針である。また、骨髄造血細胞においてはCD109の発現を確認することができなかったが、骨髄細胞は造血細胞と支持細胞からなっているため、今後は支持細胞におけるCD109の発現および機能解析も並行して行う計画である。 さらに、臨床検体の収集を継続し、造血器疾患における可溶性CD109濃度の病理学的意義について解析を加えたい。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Serum ferritin levels at diagnosis predict prognosis in patients with low blast count myelodysplastic syndromes.2019
Author(s)
Kawabata H, Usuki K, Shindo-Ueda M, Kanda J, Tohyama K, Matsuda A, Araseki K, Hata T, Suzuki T, Kayano H, Shimbo K, Chiba S, Ishikawa T, Arima N, Nohgawa M, Miyazaki Y, Kurokawa M, Arai S, Mitani K, Takaori-Kondo A; Japanese National Research Group on Idiopathic Bone Marrow Failure Syndromes.
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Journal Title
Int J Hematol.
Volume: 110
Pages: 533-542
DOI
Peer Reviewed
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