2019 Fiscal Year Research-status Report
Characterization molecular and immunologic features of CML stem cells for treatment-free remission.
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18K08375
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松村 到 近畿大学, 医学部, 教授 (00294083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏和 近畿大学, 医学部, 准教授 (40360846)
頼 晋也 近畿大学, 医学部, 講師 (70460855)
森田 泰慶 近畿大学, 医学部, 講師 (80411594)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 分子標的 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性を示し、治療後も残存する慢性骨髄性白血病(CML)幹細胞の分子遺伝学的特性の全貌を明らかにすることを目的とする。本年度は、CML幹細胞の抗腫瘍免疫回避機構を明らかにすることを目的に、昨年に引き続き、CML幹細胞におけるチェックポイント阻害分子の発現、およびその機能について解析した。まず、分子遺伝学的寛解を得た4例の骨髄組織標本を用いて、CD34+38-225+120a+で定義されるCML幹細胞の局在を評価した結果、正常造血幹細胞, HSCと同様に内骨膜上に存在する骨芽細胞、および類洞血管内皮細胞に接着して存在していた。CML幹細胞周囲には、制御性T細胞, Tregや骨髄由来抑制細胞MDSCが誘導されており、エフェクターT細胞の活性を抑制していることが推測された。CML幹細胞周囲の抑制性細胞の割合を比較した場合、TKIを中止し得た症例では、その割合は低い傾向にあった。次に、骨髄組織よりCML幹細胞をマイクロダイセクション法により単離し、昨年度CML幹細胞のPDL1発現制御に関わることを見出したCD120a/NF-κB経路の遺伝子発現をシングルセルレベルで評価し、パスウェイ解析を行った。その結果、一部のCML幹細胞では、NF-κBの下流に位置するIndoleamine 2, 3-dioxygenase-1, IDO1の有意な発現上昇を認めた。IDO1は、腫瘍微小環境においてトリプトファンを免疫抑制性のキヌレニンへと代謝する律速酵素であり、その発現上昇は、Treg発生の増加、エフェクターT細胞の増殖能低下を誘導することが報告されている。したがって、CML幹細胞は、骨髄ニッチに位置し、CD120a/NF-κB経路を活性化することで、PDL1の発現だけでなく、IDO1の発現を制御することで、腫瘍免疫を回避している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、生体内に残存するCML幹細胞の抗腫瘍免疫回避機構について、CML幹細胞の骨髄組織における局在と、昨年度我々が見出したCD120a/NF-κB経路活性化の観点から解析した。骨髄組織における局在に関しては、申請者らが同定した表面マーカーを発現するCML幹細胞は、正常HSCと同様に造血ニッチに位置し、病勢や臨床病態との関連は見出されなかった。一方、TKIを中止し得た症例では、CML幹細胞周囲のTregやMDSCの集簇割合が低かったことから、これらの細胞がCML幹細胞、ひいてはCMLの病態維持に対する抗腫瘍免疫に生体内で機能している可能性が示唆された。また、CML幹細胞におけるCD120a/NF-κB経路を介したPDL1の発現上昇に加え、本年度新たにNF-κBの下流に位置するIDO1の発現上昇を見出した。幾つかの癌種では、腫瘍微小環境においてIDO1の発現が抑制性細胞の誘導に寄与していることが示されており、IDO1阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法についても検討が始まっている。我々の研究を通じて、IDO1がCML幹細胞のCD120a/NF-κB経路の活性化を介した抗腫瘍免疫機構における新たな標的となる可能性が示唆されたことから、ほぼ当初の目標通りに研究を遂行できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、引き続きより多くの症例のCML幹細胞の特性について解析を行う。また、動物実験によりIDO1阻害薬epacadostat(INCB024360)単剤あるいは免疫チェックポイント阻害薬との併用による抗CML効果について検討を行う。さらにTKI治療前・深い寛解達成後、TKI中止後の再発例・TFR維持例それぞれの時期における細胞を用いてSmart-SeqシングルセルRNAシーケンスを行うことで、臨床病態の違いにかかわるCML幹細胞の分子基盤をより詳細に解析する。また、シングルセルRRBS(Reduced-Representation Bisulfite Sequencing)用ライブラリーを作成し、CML幹細胞におけるDNAメチル化のランドスケープの違いを明らかにする。同時に、様々な臨床病態におけるCML幹細胞と抗腫瘍免疫との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度分は、主に試薬の購入に充当する費用として算出していたが、予定よりも少額に収まったため、次年度に繰り越すこととした。 次年度の遺伝子、タンパクの発現解析などに必要な試薬、細胞をFACSで単離するための抗体、実験動物等に研究費を使用する予定である。 また国内、国外の学会における旅費、論文投稿料にも使用する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Tamibarotene maintenance improved relapse-free survival of acute promyelocytic leukemia: a final result of prospective, randomized, JALSG-APL204 study2019
Author(s)
Takeshita A, Asou N, Atsuta Y, Sakura T, Ueda Y, Sawa M, Dobashi N, Taniguchi Y, Suzuki R, Nakagawa M, Tamaki S, Hagihara M, Fujimaki K, Furumaki H, Obata Y, Fujita H, Yanada M, Maeda Y, Usui N, Kobayashi Y, Kiyoi H, Ohtake S, Matsumura I, Naoe T, Miyazaki Y; and the Japanese Adult Leukemia Study Group.
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Journal Title
Leukemia
Volume: 33
Pages: 358~370
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Efficacy and safety of tyrosine kinase inhibitors for newly diagnosed chronic-phase chronic myeloid leukemia over a 5-year period: results from the Japanese registry obtained by the New TARGET system.2019
Author(s)
Kizaki M, Takahashi N, Iriyama N, Okamoto S, Ono T, Usui N, Inokuchi K, Nakaseko C, Kurokawa M, Sumi M, Nakamura F, Kawaguchi T, Suzuki R, Yamamoto K, Ohnishi K, Matsumura I, Naoe T; New TARGET investigators.
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Journal Title
Int J Hematol
Volume: 109
Pages: 426-439
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Cessation of nilotinib in patients with chronic myelogenous leukemia who have maintained deep molecular responses for 2 years: a multicenter phase 2 trial, stop nilotinib (NILSt).2019
Author(s)
Nagafuji K, Matsumura I, Shimose T, Kawaguchi T, Kuroda J, Nakamae H, Miyamoto T, Kadowaki N, Ishikawa J, Imamura Y, Yamazaki H, Akashi K, Kanakura Y.
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Journal Title
Int J Hematol
Volume: 110
Pages: 675-682
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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