2018 Fiscal Year Research-status Report
全身性自己免疫疾患におけるRasGRPシグナル異常の解明とその是正
Project/Area Number |
18K08380
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
保田 晋助 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (00374231)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 全身性エリテマトーデス / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデスにおけるRasGRP1発現異常の解明 我々は過去に、SLE患者T細胞においてRasGRP1スプライス異常の頻度が健常人と比較して高く、蛋白レベルが低下することを報告した(Yasuda S et al, J Immunol 2007)。代表的なSR蛋白であるSRSF1が米国人SLE 患者T細胞において低値であり、CD3ζ鎖のスプライスを制御していることが報告された。我々は、RasGRP1のスプライシング調整にSRSF1の発現低下が関与していること、RasGRP1スプライシング異常が下流のMAPK経路の活性低下、さらにはIL-2産生障害、DNA低メチル化を引き起こす要因となっていることを示した (Kono M, Kurita T, Yasuda S et al. Arthritis Rheum 2018)。
関節リウマチ滑膜におけるRasGRP4の発現亢進の是正 我々は、RA患者の線維芽細胞様滑膜細胞 (FLS) にRasGRP4が高発現し、その増殖を促進することを明らかにした (Kono and Yasuda et al, Arthritis Rheumatol 2015)。本研究において、RasGRPファミリー分子の発現を検討したところ、一部の患者由来のRA-FLSにおいてRasGRP2/4を強発現する事が分かった。RasGRP2/4の発現はマウス関節炎モデルにおいても認め、RA病態に一般化できると考えた。RasGRP2はRap1を活性化することでFLSの細胞骨格を変化させ、遊走・接着を促した。RasGRP2/4の両者は協働して関節炎病態に関与する事をラット関節炎モデルを用いて示した (Nakamura H, Shimamura S, Yasuda S, et al. Ann Rheum Dis 2018)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「全身性エリテマトーデスにおけるRasGRP1発現異常の解明」については、SRSF1によるスプライシングの調整をRasGRP1が受けていること、SLE患者T細胞ではそのサブセット非依存性にRasGRP1スプライス異常が亢進していること、またSRSF1, RasGRP1の遺伝子導入によってIL-2産生・DNMT1発現が回復することを示した。
「関節リウマチ滑膜におけるRasGRP4の発現亢進の是正」については、RasGRP2/4の協働によるRA-FLSの病態への関与、さらには動物モデルにおいてこれらをノックダウンすることで関節破壊を抑制できた。
これらより、初年度の目標としてはほぼ順調に進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「全身性エリテマトーデスにおけるRasGRP1発現異常の解明」については、RasGRP1そのものがSLEの疾患感受性遺伝子であることから、SNPとRasGRP1の発現量・T cell subsetの相関などについて検討する。また、他のSR蛋白が関与するスプライシング機構とSLEとの関連についても検討を行う。 「関節リウマチ滑膜におけるRasGRP4の発現亢進の是正」については、RasGRP4とRasの会合を阻害すると考えられるfarnesyltransferase inhibitorのひとつであるtipifarnibを用いて関節炎モデルマウスにおける関節炎抑制効果について検証する。
|
-
-
-
[Journal Article] Ectopic RASGRP2 (CalDAG-GEFI) Expression in Rheumatoid Synovium Contributes to the Development of Destructive Arthritis2018
Author(s)
Nakamura H, Shimamura S, Yasuda S, Kono M, Kono M, Fujieda Y, Kato M, Oku K, Bohgaki T, Shimizu T, Iwasaki N, Atsumi T
-
Journal Title
Ann Rheum Dis
Volume: 77
Pages: 1765-1772
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-