2018 Fiscal Year Research-status Report
全身型若年性特発性関節炎の病態に関わるmicroRNAの解析
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18K08383
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
井上 祐三朗 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ がん遺伝創薬研究室, 客員研究員 (00456063)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 全身型若年性特発性関節炎 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、sJIA患者におけるエキソソーム中miRNAの発現と機能解析により、新たなsJIAの疾患活動性マーカーの確立と病態解明を目的としている。 本研究の研究計画時におこなった予備実験では、160種類のmiRNAの解析であったが、DNAチップによる網羅的miRNAの解析を行うことで、約15倍の2565種類のmiRNAを検討可能となったため、再度sJIAの疾患活動性マーカーとなりうるmiRNAを探索した。具体的には、重症のsJIA患者の治療経過において、以下の4つの時点において、血清中のmiRNAの網羅的評価をおこなった。 ①初発時 CRPなどの疾患活動性マーカー高値、②ステロイド治療後の見かけ上寛解時 CRPなどの疾患活動性マーカー正常、③ステロイド減量後の再燃時 CRPなどの疾患活動性マーカー高値、④最終寛解時 CRP・フェリチンなどの疾患活動性マーカー正常 興味深いことに、症状を認め疾患活動性マーカー高値である①および③だけでなく、治療により改善を認めていた②の時点においても、④とは異なるmiRNAプロファイルが認められた。②と④の間では、hsa-miR-451a, hsa-miR-1290, hsa-miR-1246, hsa-miR-6131の4つのmiRが8倍以上の発現量の違いを認めており、一般的な疾患活動性マーカーでは反映されない病態に関わっていることが示唆された。これらのmiRは、重篤な症状を呈する他の疾患においても発現が亢進していることが、すでに報告されており、機能的意義があることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が平成30年10月に異動となったため、研究費の使用ができなかった期間があり、研究計画時の予備実験で検討したsJIA関連miRの解析は行うことができなかった。しかし、移動先において、より多くのmiRNAを網羅的に解析する機会が得られた。 本年度の研究結果で得られたsJIAに関連するmiRの機能解析ができれば、本研究の本来の目的は達成すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究によりsJIAと関連することが示唆されたmiRの発現量を、より多くの症例で解析し、疾患活動性マーカーとしての有用性を検討する。 さらに、sJIAの病態に重要と考えられるリンパ球系培養細胞、マクロファージ系培養細胞、滑膜組織由来細胞において、遺伝子発現および細胞機能に関わるかを検討する。候補標的遺伝子のmRNAの発現はreal-time PCRにより解析する。これらの解析により認められた遺伝子発現の変化にもとに、サイトカイン産生・貪食能・増殖能などを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が平成30年10月に異動となったため、研究費の使用ができなかった期間があり、当初予定していた研究が遂行できなかった。このため、次年度に研究費を持ちこすことになった。
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