2019 Fiscal Year Research-status Report
ダニ抗原特異的免疫療法におけるT濾胞ヘルパー細胞と制御性B細胞の解析
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18K08391
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
重原 克則 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70381275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀倉 隆太 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404697)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダニ舌下免疫療法 / アレルギー性鼻炎合併喘息 / 濾胞ヘルパーT細胞 / 濾胞制御性T細胞 / 制御性T細胞 / 制御性B細胞 / ダニ特異的IgE / ダニ特異的IgG4 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性鼻炎合併喘息症例を対象にダニ舌下免疫療法(SLIT)を治療前、治療3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞、濾胞制御性T(Tfr)細胞を中心に制御性T(Treg)細胞及び制御性B(Breg)細胞をFACSにより検討した。また、同時にヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニの特異IgE, IgG, IgG4及びIgAも検討した。現在、累計で21症例に達したが途中脱落3例、一年未満症例3例、一部の抗体未測定3例あり、現在12例が解析可能である。 現在の解析結果はIgE産生能有すTfh2細胞の段階的減少とTfh1細胞の段階的上昇、また、ダニ特異的IgEの6ヶ月以降の減少とFcε受容体に結合したIgEに対する遮断抗体と考えられるダニ特異IgG4の3ヶ月目以降の上昇は昨年の報告と同様であった。今回の検討では、新しく3ヶ月以降のTfh2細胞とTfr細胞、Tfh2細胞とTreg細胞間に有意な負の相関が認められた。また、特異IgEとBreg細胞に有意な正の相関を認めた。しかし、特異IgEとBreg細胞の治療前からの増減は負の相関を示した。以上のことから、Tfr細胞及びTreg細胞によるTfh2細胞の抑制とIgE産生におけるBreg細胞の抑制効果が示唆される。 一方、SLITにおける上記患者に対する臨床的効果として、1年目の自覚症状スコア(ACQ)の改善と薬剤の減量が半数以上で認められた。SLITはQOLの改善と薬剤減量を可能にするアレルギーに対する有用な治療と考えられる。 今後、症例の完遂と得られた結果に関していくつかのex vivoでの検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
12症例の1年間の検討であるが、包括的にアレルギーに関わる細胞性免疫と液性免疫を解析することによって、あらたに、ダニ舌下免疫療法においてTfh2細胞とTfrおよびTreg細胞の関係、IgE産生に関わるBreg細胞の存在等が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果より、今後18ヶ月、24ヶ月における結果を完遂する。ダニSLIT未施行アレルギー性鼻炎合併喘息患者との免疫学的検討と臨床効果について比較検討する。SLITにおける免疫学的特徴がより明らかとなる。さらに、臨床的効果も明らかとなる。 今回の結果よりex vivoの系で検討が必要と考える。1)Tfr細胞とTreg細胞はいかなる機序でTfh2細胞を抑制するのか。2)SLITでTfh1細胞が増加する原因は何か。既報で言われているTh1細胞やIFN-γと関連あるか。3)Breg細胞がIgE産生に関わるデータは予想外であった。ヒトにおけるIgE産生は十分に解明されていないが、Breg細胞はどのような機序でIgE産生を調整するのか。4)特異的IgG4増加はTfh細胞のサブセットが抗体誘導に関わっているか?既報によるIL-10やIFN-γは必要か。5)日常におけるダニ抗原曝露ではアレルギー反応を起こすのに、SLITにおける大量の持続的アレルゲン曝露がなぜこのような現象惹起するのか不思議な現象と考える。抗原提示細胞や自然免疫も考慮し深い洞察と仮説を立て、実験的に検討が必要である。
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