2019 Fiscal Year Research-status Report
アダプター蛋白SH3BP2が全身性エリテマトーデスの病態形成に及ぼす役割の解明
Project/Area Number |
18K08398
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
向井 知之 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (00454421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 將典 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30532353)
長洲 一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40412176)
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50346441)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SH3BP2 / 全身性エリテマトーデス / 樹状細胞 / SLEモデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】SH3BP2(SH3 binding protein2)は免疫細胞に広く発現するアダプター蛋白で、Syk等の細胞内シグナル伝達を調節する。自己免疫性疾患での役割は明らかでなく、今回、全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスを用い、自己免疫現象・病変形成に及ぼす影響を検討した。 【方法】SLEモデルとしてFaslpr マウスを用い、SH3BP2 欠損Faslprマウスを作成し、35 週齢時に脾腫、抗dsDNA 抗体、リウマトイド因子、腎組織、免疫細胞サブセットの解析を行った。また、B 細胞特異的SH3BP2 欠損Faslprマウスを作成し、表現型解析を行った。 【結果】Faslpr マウスで見られる脾腫、自己抗体上昇、増殖性糸球体病変は、SH3BP2欠損により有意に軽減した。更に、Faslprマウスで増加していた脾臓のCD3+B220+CD4-CD8-T 細胞、活性化CD4+T細胞も、SH3BP2欠損により有意に低下した。B 細胞特異的SH3BP2 欠損では、免疫異常・組織障害の改善は認めなかった。SH3BP2欠損マウスの骨髄細胞を用い樹状細胞分化を評価したところ、GM-CSF・IL-4刺激下での樹状細胞分化/活性化がSH3BP2欠損により抑制された。 【結論】SH3BP2 欠損は、SLEマウスの自己抗体産生、異常T細胞増加を軽減し、臓器障害を抑制した。SH3BP2欠損は樹状細胞分化・活性化抑制を介しSLE様病変を改善すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SH3BP2欠損によりSLEモデルマウスの病態が改善することが分かった。SLE様病変の改善に関与している細胞を探索する解析で、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞にフォーカスした実験を行い、樹状細胞、また一部T細胞の関与を明らかとすることができた。 現在までの実験で予想していたマウスの表現型が確認出来、その後の機序を探る解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
SH3BP2はアダプタータンパクとして細胞内シグナル伝達を調節する。SLE様病変の改善に樹状細胞が関与しているとして、その細胞内のシグナルについて明らかにしたい。今後、樹状細胞培養系を用い、細胞分化・活性化におけるGM-CSFやIL-4に対する細胞内シグナル伝達の活性化、さらにSH3BP2のインタラクションについて解析を進める。ウェスタンブロット、免疫沈降実験を予定する。
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Causes of Carryover |
物品費が当初の見込みと異なっていたため、未使用額が生じた。未使用額は次年度の物品費の経費に充てることとしたい。
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