2018 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるエクソソームの病態への関与の解明
Project/Area Number |
18K08407
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中町 祐司 神戸大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (80379429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 誠司 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (20351512)
三枝 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20514970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / エクソソーム / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)はわが国において70 万人以上が罹患している原因不明の自己免疫疾患である。主に中・壮年層に罹患し関節痛・関節変形によるADL・QOL の低下は、経済的損失とも相俟って医学的にも社会的にも重要な疾患である。近年の生物学的製剤による治療法は従来の治療法に比べ優れているが、無効例や効果減弱例が見られることや医療費が高価なことが問題となっている。 われわれはラットアジュバンド関節炎モデルを用いてmiR-124前駆体を右踵関節局所に投与した。その結果、全身の関節炎や骨破壊を抑制することを見出した。しかし、右踵関節局所投与にもかかわらず全身の関節炎や骨破壊を抑制した機序は不明である。 エクソソームは蛋白やマイクロRNAを内包する細胞間コミュニケーション物質である。RAでは滑膜細胞や免疫細胞から分泌されるエクソソームには向炎症性物質が多く、異なる細胞に取り込まれRAの病態を促進することが報告されている。 本研究はmiR-124を高発現させたRA滑膜細胞などから分泌されるエクソソーム中の蛋白質やマイクロRNA及び分泌されるエクソソーム数を解析することにより、エクソソームのRAの病態における役割を明らかにし、RA の新たな治療法の開発を目的としている。 平成30年度はRA滑膜細胞株、RA滑膜細胞や変形性関節症(OA)滑膜細胞にmiR-124mimicをトランスフェクションし分泌されるエクソソーム数を種々の方法で検討した。その結果、RA滑膜細胞株ではmiR-124を高発現することによりエクソソームの分泌は抑制されたがRA滑膜細胞やOA滑膜細胞では変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度までの実験計画はmiR-124を高発現した滑膜細胞や炎症細胞とmiR-124低発現細胞の滑膜細胞や炎症細胞から分泌されるエクソソームの数やエクソソームに内包するマイクロRNAや蛋白の変化を検討することであった。 昨年度はエクソソーム数を正確に計測するため、測定する方法をナノ粒子マルチアナライザー法やPS captureELISA法など種々の方法を検討した。PS captureELISA法は当初の予定より発売が遅れたため計画より遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
RA滑膜細胞およびRA患者より単球を分離しM1マクロファージに誘導した細胞およびこれらの細胞にmiR-124を導入した細胞、変形関節症(OA)滑膜細胞および健常者からの単球を分離しM1マクロファージに誘導した細胞から分泌されるエクソソームを抽出し、エクソソームに内包する蛋白質やマイクロRNAのプロファイリングなどを行う。これらより、miR-124によるエクソソームの分泌数および内包蛋白質や内包マイクロRNAの違いを明らかにし、診断候補の蛋白質・マイクロRNAの選定やエクソソームの蛋白質およびマイクロRNAの内包および分泌に影響を及ぼす蛋白質を選定する。検証のために各細胞10例ずつについてそれぞれmiR-124導入および非導入細胞について検討する。 次にmiR-124が直接的に選定蛋白質に作用するか否かを検討するため、選定蛋白質をコードするmRNAの3’非翻訳領域をルシシェラーゼベクターに挿入し、ルシフェラーゼアッセイを行い検討する。選定蛋白質についてエクソソームの分泌や蛋白質の内包に機能しているかを確認するためにsiRNAで選定蛋白質の発現をノックダウンして確認する。 次にラットアジュバンド関節炎モデルで関節炎ラット、miR-124関節局所投与関節炎ラットについて血漿中のエクソソームを抽出し、選定蛋白質や選定マイクロRNAを測定して検証する。または活動性の高いRA患者および健常者血より上記の方法によりエクソソームを抽出し、エクソソーム中の選定蛋白質や選定マイクロRNAの検証を行う。 最後にRA滑膜細胞およびRAマクロファージにmiR-124を導入した細胞から抽出したエクソソームをマウスコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルに投与し、関節炎が抑制されるか否かを検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画より遅れているため繰越額が生じた。 miR-124によるRA滑膜細胞や炎症細胞から分泌されるエクソソームの数や内包する蛋白やmiRNAを測定するために使用する。その後、同定した蛋白やmiRNAがRAの病態にどのように関与しているかを検討するために試薬代に主に使用する。 設備は本大学の設備を最大に利用し、旅費、成果発表、印刷費、通信費、翻訳・校閲、専門的知識・技術の提供、論文別刷は最低限に抑え、実験動物費、試薬等の消耗品にあてる。
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