2019 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるエクソソームの病態への関与の解明
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18K08407
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中町 祐司 神戸大学, 医学部附属地域医療活性化センター, 臨床検査技師 (80379429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 誠司 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (20351512)
三枝 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20514970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / エクソソーム / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)はわが国において70 万人以上が罹患している骨破壊を伴う原因不明の自己免疫疾患である。近年の生物学的製剤による治療法では、無効例や効果減弱例が見られることや医療費が高額なことが問題となっている。 われわれはラットアジュバンド関節炎モデルを用いてmiR-124前駆体を右踵関節局所に投与した結果、全身の関節炎や骨破壊を抑制することを見出した。しかし、局所投与にもかかわらず全身の関節炎や骨破壊を抑制した機序は不明である。 エクソソームは蛋白やマイクロRNAを内包する近年発見された細胞間コミュニケーション物質である。本研究はmiR-124を高発現させたRA滑膜細胞などから分泌されるエクソソームを調べることにより、エクソソームのRAの病態における役割を明らかにし、RA の新たな治療法の開発を目的としている。 令和元年度はRA患者滑膜細胞(RA-FLS)、miR-124 高発現RA患者滑膜細胞(RA-miR124-FLS)および変形性関節症(OA)患者滑膜細胞(OA-FLS)から分泌されるエクソソームを抽出し、網羅的解析を行った。プロテオーム解析では1628個の蛋白を同定し、RA-FLS由来エクソソームに比べてRA-miR124-FLS由来エクソソームで2倍以上増加した蛋白59種類、半分以下に減少した蛋白100種類を検出した。また、RA-FLS由来エクソソームに比べ、RA- miR-124-FLS由来エクソソーム、OA-FLS由来エクソソーム共2倍以上増加した蛋白は16種類、半分以下に減少した蛋白は27種類であった。また757種類のマイクロRNAを検討した結果、RA-FLS由来エクソソームと比較して4倍以上の違いがみられたのはRA-miR124-FLS由来エクソソームのmiR-124とOA-FLS由来エクソソームの1種類であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はRAの滑膜細胞などから分泌されるエクソソームを研究することにより、RAの病態におけるエクソソームの役割を明らかにし診断や治療に応用することを目的としている。 令和元年度はプロテオーム解析や網羅的マイクロRNAの解析を行った。網羅的マイクロRNAでは757種類のマイクロRNAを検討した。RA-FLSエクソソームに比較し、miR124高発現RA-FLSエクソソームやOA-FLSエクソソームで高発現のマイクロRNA1種類を検出したが、検証試験を行った結果、再現しなかった。 プロテオーム解析では1628個の蛋白を同定し、RA-FLS由来エクソソームに比べてmiR124高発現RA-FLS由来エクソソームで2倍以上増加した蛋白59種類、半分以下に減少した蛋白100種類を検出した。また、RA-FLS由来エクソソームに比べ、miR124高発現RA-FLS由来エクソソーム、OA-FLS由来エクソソーム共2倍以上増加した蛋白は16種類、半分以下に減少した蛋白は27種類であった。当初の計画ではスクリーニングされた蛋白を検証する予定であったが、候補の蛋白の数が多いため蛋白を限定する実験を計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオーム解析でRA-FLS由来エクソソームと比較してmiR-124高発現RA-FLS由来エクソソームやOA-FLS由来エクソソームで含有量に差が見られる蛋白を検出した。候補の蛋白を特定するためにRAの病態形成に重要であり、かつエクソソームを取り込むことが明らかであるマクロファージにこれらのエクソソームを作用させどのような変化が起きるかなどを検討し、RAの病態形成に特に重要な蛋白を特定する。その後、候補の蛋白をsiRNAでノックダウンし、RAの病態への関与を検討する。 次に、miR-124関節局所投与関節炎ラットについて血漿中のエクソソームを抽出し、選定蛋白質や選定マイクロRNAを測定して検証する。または活動性の高いRA患者および健常者血より上エクソソームを抽出し、エクソソーム中の選定蛋白質や選定マイクロRNAの検証を行う。 最後にRA滑膜細胞およびRAマクロファージにmiR-124を導入した細胞から抽出したエクソソームをマウスコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルに投与し、関節炎が抑制されるか否かを検討する。
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