2019 Fiscal Year Research-status Report
自己抗体産生におけるインターフェロン誘導性ヒストン修飾酵素SETDB2の機能解明
Project/Area Number |
18K08412
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
北畠 正大 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60457588)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 利洋 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00595712)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | B細胞 / インターフェロン / ヒストン修飾酵素 / SETDB2 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデスなどの全身性自己免疫疾患では、自己反応性B細胞が排除されずに活性化・増殖し、高親和性のIgG型自己抗体を産生して組織障害を引き起こす。SLE患者ではI型インターフェロン(IFNα/β)の産生が増加していることから、I型IFNはB 細胞を活性化して疾患発症を促進させると考えられている。一方、疾患発症は複数の遺伝子発現異常が組み合わさって起こることが示唆されており、包括的に遺伝子発現を調節するエピジェネティクな変化がB細胞内で起こっていることが予想される。申請者は、I型IFNが転写抑制に働くヒストンメチル化酵素SET domain, bifurcated 2(SETDB2)の発現を誘導することに着目し、SETDB2の発現異常と自己免疫疾患との関連を明らかにすることを目的とした。 C57BL/6マウス、BALB/cマウスならびに自己免疫疾患モデルNZB x NZW F1(BWF1)マウスの腹腔と脾臓からB1細胞・B2細胞を分離し、種々のB細胞活性化因子によって刺激し、SETDB2の発現上昇を誘導する因子の同定を試みた。結果、I型IFNのみならずリポ多糖 (LPS) 刺激によってもSETDB2の発現が誘導されることを見出した。In vivoで誘導された胚中心B細胞では、SETDB2の発現は低下しており、SETDB2の発現上昇は一過性であることが示唆された。また自己免疫疾患を発症した加齢BWF1マウス由来のB細胞におけるSETDB2の発現は低下しておらず、IFN刺激によって発現は上昇した。一方、IFN刺激でAIDの発現は低下したことから、AIDの発現制御との関連が示唆された。B細胞におけるSETDB2の機能を調べるために、iGONAD法によりSETDB2欠損マウスの作製を試み、ヘテロ欠損マウスの作製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自己免疫疾患モデルのB細胞におけるSETDB2は疾患発症後も低下しておらず、IFNやLPS刺激によって発現誘導されることが明らかとなったが、SETDB2が発現抑制する標的遺伝子や、B細胞における機能の同定には至っていない。またSETDB2ヘテロ欠損マウスの作製に成功したが、ホモ欠損マウスの樹立には至っていない。年度後半はCOVID-19の発生によって、研究の実施が困難となり、研究の進捗がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
SETDB2ヘテロ欠損マウスを交配し、ホモ欠損マウスを作製する。加齢したマウスが自己免疫疾患を発症するかを検証する。 また、欠損マウスのB細胞を解析し、SETDB2が発現抑制する標的遺伝子の探索を行う。また、B細胞の増殖、 細胞死、自己抗体産生、クラススイッチなどに対するSETDB2の影響を解析する。
|
Research Products
(3 results)