2021 Fiscal Year Research-status Report
炎症と骨吸収に関与するIL-34は関節リウマチの治療の標的分子となりうるのか?
Project/Area Number |
18K08420
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
永渕 裕子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80278001)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 関節リウマチ / IL-34 / 線維芽細胞様滑膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)の治療には炎症の制御と骨破壊の制御が重要である。Interleukin(IL)-34はColony-Stimulating Factor-1 Receptor (C)の第2のリガンドとして発見された慢性炎症と骨吸収に関与するサイトカインである。IL-34のRAの病態における役割を明らかにする目的で実験を行なった。RAおよび変形性関節症(OA)患者血清およびRA滑膜細胞を用いた。各種サイトカインをELISA法で測定した。CSF-1Rの発現は免疫組織染色で検討した。血清IL-34はOAに比べRAで有意に増加していた(RA;13.0±23.1,OA; 0.3±0.3 pg/ml, p<0.05)。RA初代滑膜細胞の培養上清で自発的にIL-34の産生を認めた。RA線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)はIL-1,TNFα刺激でIL-34を産生した。RAFLS はIL-34の受容体であるCSF-1Rを発現していた。RAFLSはIL-34刺激でIL-6を産生した。IL-1で刺激したRAFLS から産生されるIL-6は抗IL-34抗体, 抗CSF-1R抗体で抑制された。RA患者ではIL-34産生が亢進しており、滑膜病変でIL-34が産生れ、病態形成に関与していることを明らかにした。IL-34はRAの新たな治療標的となる可能性が示唆された。さらに本研究者はRA滑膜の病態形成にプロラクチが関与していることを報告している(JRheumatol. 1999, 26(9):1890-1900.)。滑膜細胞にIL-34を滑膜細胞にIL-34を添加すると培養上清中のプロラクチン産生の増加が認められた。これまでIL-34とプロラクチンの関連の報告はなく、今後さらに検討を重ねたい。肺がん患者の癌細胞がIL-34を産生し、IL-34をターゲットにした肺がん治療を提案する論文がある。IL-34をターゲットにしたRA治療を行うことで、担癌患者の腫瘍免疫を抑制にせずにRA治療ができる可能性があり 癌合併RA患者血清を用いた実験を追加し、この点も引き続き検討したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ流行に伴い不要不急とされた関節の手術が行われていない現状があり、この1年間の滑膜の入手は困難であった。また輸入による海外の滑膜細胞の入手も困難であった。さらに診療教育に必要な時間が増え、実験に使用できるフリーの時間がなくなり、実験の実施自体が困難となった1年であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外からの滑膜細胞株の購入を再度試みたい。また腫瘍細胞が産生するIL-34にも注目し 担癌RA患者の治療へのIL-34ターゲット治療の有用性も検討するため担癌患者の血清中IL-34の測定を行いたい。手術検体も増えることを期待し、研究をすすめていきたい。
|
Causes of Carryover |
臨床業務の増加による研究遅延のため使用が少なかったため次年度使用額が生じました。 次年度は関節リウマチ患者血清と悪性腫瘍合併関節リウマチ患者血清を用いてIL-34を含む炎症性サイトカインの測定と滑膜細胞を用いて基礎的検討をさらにすすめる予定です。
|
Research Products
(2 results)