2019 Fiscal Year Research-status Report
感染時にみられる好中球のミトコンドリアの融合機構の解明
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18K08423
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
真崎 雄一 北海道大学, 医学研究院, 講師 (60311304)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 好中球 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球は、感染初期に働く重要な免疫細胞の一つであり、好中球のミトコンドリアの形態の異常は、易感染性になる原因の一つとして報告されている。好中球は、通常、活性酸素種の産生の抑えるために、解糖系を用いてATPを産生している。一方、体内に病原体が侵入すると、好中球は大量のATPを必要とすることから、ミトコンドリア内の電子伝達系を使ってATPを産生していると考えられている。申請者は、好中球の研究をするなかで、好中球を細菌性ペプチドで刺激すると、好中球のミトコンドリアが短時間に融合し、酸化的リン酸化の量も増加することを見出した。しかし、細菌性ペプチドによる、このような変化が、どのようなメカニズムで短時間に起こるのかについては謎である。そこで、本研究では、細菌性ペプチドであるfMLPの刺激によって、好中球のミトコンドリアが融合する分子メカニズムを明らかにすることにした 申請者は、昨年度までに、fMLPの刺激による好中球のミトコンドリアの融合には、MFN2が関わっているおり、この発現を抑えると、ミトコンドリアの融合、酸化的リン酸、さらには好中球様細胞に分化させたHL-60細胞のケモタキシスも抑えることを明らかにした。 そこで、今年度は、MFN2を制御する分子を制御する分子の同定を試みた。様々な解析の結果、これまでMFN2に結合することが報告されていたタンパク質の発現を抑えると、MFN2の発現を抑えた時と同様、fMLPの刺激による好中球のミトコンドリアの融合が抑えられることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、好中球のミトコンドリアの融合に関わる分子MFN2の制御分子を同定することを計画の一つしており、本年度、この分子が同定されたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度同定した分子がMFN2のGTPase活性を制御しているか調べる。また、本年度同定した分子と蛍光タンパク質の融合タンパク質をdHL-60細胞に発現させ、fMLPで刺激した際の細胞内動態を観察する。その後、これらを解析し、これらのタンパク質が、細胞内のどこで相互作用しているか調べ、ミトコンドリアの融合の分子機序の明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
今年度、研究成果を発表する予定にしていた日本薬理学会年会が、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、紙上開催となった。学会の紙上開催決定が2月末であったこともあり、今年度、使用することが不可能だったため、旅費に使用予定だった助成金を次年度繰り越すことにした。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの学会が中止なっていることから、繰り越した助成金を旅費に使用することは難しく、次年度は、ミトコンドリアの融合の分子機序の解明のため必要なベクターの構築並びに細胞の樹立に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)