2021 Fiscal Year Annual Research Report
The association of gene mutation with clinical characyter in MRSA infection
Project/Area Number |
18K08426
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩田 恭宜 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (90432137)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRSA |
Outline of Annual Research Achievements |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、1970年代に出現した多剤耐性菌であるが、未だ克服されていない。本邦のほぼすべての病院から分離され、MRSA感染症による年間死亡者数が1万4千人、医療費が約1900億円増加していると試算されている。その感染症対策は、医学的、医療経済的にも喫緊の課題である。これまで宿主の状態がMRSA感染症の病態に寄与することは知られていたが、菌体側の因子による病態への関与は、毒素因子などは検討がされているものの、他因子については、詳細は不明であった。本研究課題においてMRSA側の因子として、その遺伝子情報に着目し、感染症に及ぼす影響について検討した。MRSAの網羅的遺伝子解析を行い、その変異と、感染症の臨床病態を評価した。その結果、接着・バイオフィルム関連の遺伝子領域に変異を持つ株は、有意に血流感染症を増加させることを明らかにした。(Iwata Y. Wada T. et al. Int J Infect Dis. 2020, 特願2015-056620)。また、接着・バイオフィルム関連の遺伝子発現の制御物質は、新規の感染予防薬となり得ることを明らかにした(Iwata Y. Wada T. et al. BBRC 2021)。さらに、最近増加している市中感染株の薬剤耐性と遺伝子変異の関与(Iwata Y. Wada T. et al. J Infect Chemother.2020)などを報告した。これらの結果は、細菌の遺伝子情報が感染症の病態に深く関与していることを示していた。今後、MRSA感染症に対する対策を考えるうえで、その遺伝子情報、および遺伝子発現の制御が新たな治療のターゲットになる可能性が示された。
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