2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of differential diagnostics for various arboviruses
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18K08434
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井上 真吾 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00346925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピトープブロッキングELISA / 黄熱ウイルス / デングウイルス / モノクローナル抗体 / 大腸菌タンパク発現系 / エンベロープタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は本プロジェクト最終年度として、IgG検出系だけでなくIgM検出系のエピトープブロッキングELISA(競合ELISA)の開発を目指して準備していた。 しかし2020年1月から日本および世界における新型コロナウイルスパンデミックが始まり、世界的に血清学的な検査法の開発が急がれたため、研究の大部分の時間を新型コロナウイルスの血清診断系の開発に注力することとなった。従ってアルボウイルスに対するエピトープブロッキングELISAの開発に関する進捗は前年度までとほぼ同じである。 ただ、本プロジェクト実施中に培った組換えタンパクの大腸菌発現系およびその精製法の改良(ニッケルカラムおよびコバルトカラムの併用)などにより、新型コロナIgG検出ELISAの開発に成功した。そして血清学的な確定診断法である中和試験法との比較を行いIgG検出ELISAが高い感度(Sensitivity)と高い特異性(Specificity)を得ることに成功した。特に組換えタンパクとして使用した核タンパクの内、他のヒトコロナウイルスとの共通アミノ酸配列の部位を欠失させたタンパクを発現させることにより、ヒトコロナウイルスに対する抗体との交差反応を軽減させるようデザインした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は前年度と同様フラビウイルス科ウイルスの黄熱とデング熱を区別できることを目標としたウイルス特異的IgG抗体検出エピトープブロッキングELISA(競合ELISA)並びにIgM抗体検出エピトープブロッキングELISAの開発を目指して実験を進めたが、IgG抗体検出エピトープブロッキングELISAのみに留まった。 その原因としては、2020年1月に起こった新型コロナウイルスパンデミックにより、研究の大部分の時間を新型コロナウイルスの血清診断系の開発に注力することとなったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスパンデミックの影響で本来の研究に影響が出たため、もう一年本プロジェクトの延長を認めていただいたので、今年度はプロジェクト本来の課題である各種アルボウイルスの鑑別診断法の開発を行いたい。 そこでまず、(1)2019年度に見出した強い競合作用を示す1クローンと弱い競合作用を示す2クローンの抗黄熱ウイルスモノクローナル抗体を用い、黄熱ウイルスエピトープブロッキングIgGELISAの条件の最適化を行い、他のフラビウイルス感染症患者の抗体価との比較が可能であることを確認したい。(2)次に、より診断に直結した黄熱エピトープブロッキングIgMELISAの開発を行いたい。(3)次に、デングウイルス特異的モノクローナル抗体を入手し、デングウイルスエピトープブロッキングIgGELISA(IgMELISA)と黄熱ウイルスエピトープブロッキングIgGELISA(IgMELISA)を用いて黄熱患者とデング熱患者との鑑別法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルスパンデミック発生により本プロジェクトの遂行が困難になったため、次年度への予算の繰り越しを申請したため。 次年度は黄熱エピトープブロッキングIgMELISAの開発の為、市販の抗ヒトIgM抗体の購入を計画している。また抗黄熱IgM抗体並びにIgG抗体との比較のためにデングエピトープブロッキングIgMELISAおよびIgGELISAを開発することを計画している。そこでデングウイルス特異的なモノクローナル抗体をATCCから購入して実験に供することを計画している。そして黄熱患者の場合の抗黄熱IgMおよびIgGが特異的に高いこと、反対にデング患者の場合は抗デングIgMおよびIgGが特異的に高いことを示したい。
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