2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanisms regulating Human T cell leukemia virus type 1 gene expression by high-throughput experimental methods
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18K08437
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
MIYAZATO PAOLA 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別研究員 (90573105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝屋 弘雄 熊本大学, エイズ学研究センター, 特任助教 (80632041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HTLV-1感染症 / トランスキプトーム / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
下記の様に、本研究課題を遂行した。 HTLV-1はレトロウイルスであるため、感染後にヒトゲノムに組み込まれる。ウイルス遺伝子の発現は組み込まれた周辺環境によって影響を受けるが、プロウイルス配列内にもウイルス遺伝子の発現制御に関わる配列が存在することを我々は明らかにしてきた。本研究課題ではHTLV-1感染細胞株を用いて、MNase-seqやATAC-seq解析を行い、プロウイルス内部のエンハンサー配列を同定した。この配列は感染患者検体でも保たれており、SRF とELK-1転写因子の局在が観察された。さらに、転写因子YY1を介してプロウイルスが宿主遺伝子とのloopingをおこすことが考えられ、HTLV-1プロウイルスが組み込まれることにより、宿主ゲノムに本来存在しなかった遺伝子発現制御配列が新たに生成される可能性がある。この結果、ウイルス遺伝子や宿主遺伝子の発現パターンが変化すると予期される。 HTLV-1遺伝子の発現調節には、いくつかの要因が関与していることが明らかになっている。我々はHTLV-1 RNAの転写後調整におけるZC3HAV1(ZAP)タンパク質の役割を調べた。Capped RNAのRNAseq であるCAGE (Capped Analysis of Gene Expression) を行った結果、HTLV-1トランスクリプト転写後の分解やデグラデーションが考えられた。ZAPがCG コンテンツの高いRNA転写物を認識し、分解を誘導することはこれまで報告されている。実際、HTLV-1はCG コンテンツが高く、実験的にも、ZAPとの結合が免疫沈降法により観察された。感染細胞株を用いて、ZAPをターゲットにした siRNAを導入すると、ZAPの発現低下と共にHTLV-1 p19タンパク質が上清中に増加した。また、ZAPの強制発現実験では、p19の減少が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTLV-1プロウイルスが組み込まれることによって、宿主遺伝子の発現にも影響を及ぼすかを解析した。HTLV-1 野生株分子クローンをHEK293T 細胞に導入し、 Jurkat細胞株と共培養することで,HTLV-1感染Jurkat細胞クローンを樹立した。同様に、エンハンサー配列(SRF&ELK-1結合配列)に変異を導入したクローンも作製した。今後は、これらの細胞株を用いて、HTLV-1感染においてエンハンサー配列が果たす役割を明らかにする計画である。また、 解析を続けるのに十分なDNA-seq、CHIPseqとRNA-seqのデータセットをすでに得ている。 さらには、感染患者検体を用いて、DNAseq とRNAseq を行った。 エンハンサー以外にも転写後に発現制御の機構がある可能性を示す結果を得ている。HTLV-1配列にCG di-nucleotidesが多く含まれている事で、ZAP restriction factorに認識され、分解につながり、ウイルス遺伝子発現が宿主免疫から逃げるメカニズムが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型および変異体HTLV-1感染Jurkat細胞のRNA-seqデータセットの詳細な解析を行う予定である。In vivoでの機能を調べるために、ヒト化マウスを用いて野生型および変異体感染細胞株の増幅力を評価する。 ZAPとHTLV-1 RNAが細胞内で相互作用しているのかを明らかにするために,蛍光ラベルされた抗ZAP抗体とウイルスRNAに結合するプローブを用いて、顕微鏡で観察する予定である。
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Research Products
(13 results)