2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of apolipoprotein E on anti-viral activity and pathogenesis of viral infection
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18K08438
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有海 康雄 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任准教授 (60303913)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HIV / ApoE / エンベロープ / マクロファージ / プロモーター |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の本研究により、HIV-1感染に伴いアポリポタンパク質E (ApoE)がマクロファージ特異的に発現誘導されること、ApoEがHIV-1エンベロープ (Env)をタンパク質分解の場であるライソソームにハイジャックし、分解することにより、ApoEがHIV-1感染を抑制することを報告した。今年度は先ず、ApoEのEnvに対する特異性について検証した。ApoEはHIV-1のみならず、HIV-2 Envも分解し、HIV-2の感染複製を抑制することを見出した。一方、ApoEは水胞性口炎ウイルス (VSV)をはじめ、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスのEnvは分解しないことを確認したことにより、ApoEのHIVに対する特異性を実証することが出来た。次にHIV-1がどのようなメカニズムにより、ApoEを誘導するのか研究を進めた。HIV-1には4つのアクセサリータンパク質Nef、Vif、Vpr、Vpuがコードされているが、各々のアクセサリータンパク質が欠損したHIV変異体を用いて、マクロファージにおけるApoEの発現誘導をウエスタンブロット法により検証した。その結果、少なくとも4つのHIVアクセサリータンパク質は、ApoE発現誘導には関与しないことが判明した。また、ApoEはマクロファージのみならず、単球系細胞株THP-1においてもHIV感染により、ApoEが発現誘導されることを見出した。そこで、HIV感染がApoEの転写制御に関与しているのか検討するため、ApoEプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子に挿入したレポーターをTHP-1細胞にトランスフェクション後、HIV感染させ、ルシフェラーゼアッセイを行った。予想通り、HIV感染に伴い、ApoEプロモーター活性が増強された。以上の結果より、HIVはApoEプロモーターを活性化することにより、ApoEの発現誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究成果として、アポリポタンパク質E (ApoE)のエンベロープウイルスに対する特異性を実証出来た。また、ApoEはHIV-1のみならず、HIV-2 Envも分解し、HIV-2の感染増殖を抑制することを見出した。さらにHIVによるApoE発現誘導のメカニズムとして、4つのHIVアクセサリータンパク質は関与しないこと、そして、HIV感染はApoEプロモーター活性を活性化することにより、ApoE発現誘導することを明らかにした点により、本研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
アポリポタンパク質E (ApoE)はマクロファージをはじめ、肝臓にも多く発現していることが知られている。これまでの研究により、ApoEはC型肝炎ウイルス (HCV)の感染複製には必要であること、そして我々の研究により、ApoEのHIVに対する感染抑制機構に関しては明らかとなったが、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染複製機構に対する影響は不明である。今後は、ApoEのHBVの感染増殖複製に対する効果について明らかにしていきたい。同時にApoEは本来、脂質代謝に必要不可欠な因子であるので、脂質代謝とエンベロープやウイルス感染との相互作用についても検証していきたい。
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Research Products
(11 results)