2019 Fiscal Year Research-status Report
サイトメガロウイルスの感染細胞指向性をエピジェネティックに型判別する方法の開発
Project/Area Number |
18K08441
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
石岡 賢 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50305356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 和史 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (60512184)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒトサイトメガロウイルス / 細胞指向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、 先天性CMV感染児の尿から複数の細胞株を用いてCMVの分離培養を継続的に行ってきたが、 同一検体から上皮・内皮系細胞への感染効率が1,000 倍も異なるCMV株のセットを複数株分離することができた。この事実は、我々には細胞指向性(トロピズム)が異なる複数の CMV 株が感染していて、その異なる株が異なる臓器の疾患を起こしている可能性があることを示唆するものである。そのトロピズムを決定するウイルス側の要因を明らかにし、型別の判別方法が確立することで本ウイルスによる感染症の病態生理とその病態に則した治療方法の確立を目指し、同一患者から分離した細胞指向性(繊維芽細胞では増殖するが上皮細胞では増殖しない株とどちらでも増殖する株)の異なる株、2セット4株について全ゲノムバイサルファイトシークエンスを行いゲノムのメチル化パターンの解析を行なった。メチル化パターンについて系統樹解析をした結果、細胞指向性の同じ株は近く、一方異なる株間では遠いことが分かった。この結果は我々が想定していたゲノムのメチル化が細胞指向性に関与することを支持する結果となった。 トロピズムの違う株間でのメチル化の違いは全ゲノムに散在して見られ、2セットのトロピズムの違うウイルス株間で共通してメチル化に違いがあり、かつウイルスの増殖に関与する遺伝子としてリボヌクレオチドリダクターゼ(UL45)、プライマーゼ関連タンパク(UL102)、ウラシルDNAグリコシラーぜ(UL114)、gH糖タンパク(UL116)、前初期タンパク IE-2(UL122)、潜伏感染マーカータンパク(UL138)などが候補として見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノムのメチル化パターンの違いがトロピズムの違いに関与することを示唆する結果は得られたが、そのメチル化の違いは全ゲノムに散在するように見られ、トロピズムの違う株間では約43,000カ所におよんだ。このうち、2セットのトロピズムの違うウイルス株間で共通してメチル化に違いがあり、かつウイルスの増殖に関与する遺伝子としてリボヌクレオチドリダクターゼ(UL45)、プライマーゼ関連タンパク(UL102)、ウラシルDNAグリコシラーぜ(UL114)、gH糖タンパク(UL116)、前初期タンパク IE-2(UL122)、潜伏感染マーカータンパク(UL138)などが候補として見つかった。現在IE-2を恒常的に発現する上皮細胞(ARPE)を作成し、繊維芽細胞では増殖するが上皮細胞では増殖しないウイルス株が増殖し得るかどうかを検証している。したがって、まだトロピズムを決定するメチル化領域の特定にはいたっていないのが現状でありやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
トロピズムの違う株間でのメチル化領域が想像していたものより多いが、2セット間で共通していてウイルス増殖に関与すると考えられる領域は比較的絞られた。現在行なっている IE-2発現上皮細胞でのウイルス増殖の結果次第にはなるが、この領域ではない場合には他の候補となっている遺伝子を発現する上皮細胞を作成して検証を行なって行く。また、候補となった領域に限定して、これまでに我々が分離したトロピズムの異なるウイルス株間のメチル化を解析を並行して行なっていく。
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Causes of Carryover |
これまでに使用していなかった研究成果発表のための旅費、投稿費について次年度に繰り越して使用を計画している。
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