2018 Fiscal Year Research-status Report
効率的な抗インフルエンザメモリーCD8 T細胞の誘導法の開発
Project/Area Number |
18K08456
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉澤 彰宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (30407093)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | T細胞 / メモリー / インフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ感染後、肺実質内に残留するPA224特異的CD8T細胞、NP366特異的CD8T細胞の組織学的局在を、特にiBALT(inducible bronchus associated lymphoid tissue)と関連づけて、テトラマー試薬を用いた蛍光免疫染色法で観察した。iBALT内には、非特異的CD8T細胞は観察されるが、インフルエンザ特異的CD8T細胞はiBALT周辺に存在するのみであった。CD103分子と共染色したCD8T細胞やメモリーT細胞の維持に必要なIL-15産生細胞もiBALT周辺に局在することが確認された。 Eカドヘリン抗体を用い、肺細気管支上皮を染色することでメモリーCD8T細胞と上皮との関連性も観察した。CD103分子はEカドヘリンと相互作用すると考えられている様に、CD103陽性CD8T細胞は上皮細胞間に局在していた。テトラマー染色によるPA224特異的CD8T細胞やNP366特異的CD8T細胞の上皮との関連性も調べたが、上皮間にはそれらのCD8T細胞は確認できなかった。上皮間で接着分子と強固に結合しているT細胞を巨大分子であるテトラマーで染色することが困難であったことが推測された。 そこで、PA224特異的CD8T細胞はT細胞受容体Vb7、NP366特異的CD8T細胞は同Vb8.3を発現していることを利用して、抗Vb7抗体、抗Vb8.3抗体で染色することで、それらインフルエンザ特異的CD8T細胞の細気管支上皮細胞間での局在を調べた。後者のCD8T細胞は前者よりCD103発現が低いにもかかわらず、より多く上皮に接着していた。CD103以外の接着分子がNP366特異的CD8T細胞により発現していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザ抗原特異的な2種のCD8 T細胞の組織学的解析は順調に進んでいる。他の種類の免疫細胞との相互反応を与える微小環境の解明にも組織学的解析が役に立っている。抗体によっては共染色性が不良であることがある。
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Strategy for Future Research Activity |
肺組織内に残留するNP366特異的CD8 T細胞やPA224特異的CD8 T細胞を、テトラマーで染色し、さらにレーザーマイクロディセクション法を用いて、CD8 T細胞の微小分布の相違を考慮したRNA seqデータを取得する。これにより、メモリー形質を与える、詳細な微小環境が解明することを検討中である。
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