2019 Fiscal Year Research-status Report
GLUT4の空間・時間的運命を制御するインスリン・シグナルの解明
Project/Area Number |
18K08463
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴田 宏 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (20235584)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン作用 / グルコーストランスポーター / 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ / タンパク質寿命 / 小胞輸送 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脂肪細胞において過酸化水素(H2O2)産生亢進をもたらすインスリン・シグナルを明らかにすることにより,GLUT4の空間・時間的運命,すなわち,GLUT4のインスリン感受性GLUT4貯蔵コンパートメント(GSC)へのターゲティングと蛋白寿命の制御機構を解明することにある。これまでの検討により,3T3-L1脂肪細胞においては,インスリン刺激時のH2O2産生はNADPHオキシダーゼであるNox4活性に依存すること,インスリン刺激後Nox4は小胞体(ER)に局在したままで,細胞膜近傍へ集積すること,インスリン依存性にNox4と結合する細胞膜標的分子候補がカベオリンであることを明らかにした。両者の結合はvanadate存在下でのみ見られることから,いずれかの蛋白のチロシンリン酸化に依存する結合と考えられた。チロシン残基に変異を導入したNox4 (Nox4-Y572F)を発現することにより,インスリンによるGLUT4分解促進作用が抑制されたことから,同リン酸化がカベオリンとの結合およびNox4活性化に重要であることが想定された。一方で,Nox4の基質であるNADPHの供給がペントースリン酸経路のグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)活性に依存することを明らかにした。この結果から,本インスリン作用の解明において,Nox4活性の制御機構とともにG6PD活性の制御機構が重要な役割を担うことが示唆された。しかしインスリンによるG6PDH活性化は明らかには示されず,さらに上流の代謝経路の活性を検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室の前任教授が退官し、新しい教授が着任したため、新規研究プロジェクト(脂肪細胞分化における鉄イオンの役割の解明)への参加とエフォートが求められ、当該研究課題にあてられるエフォートが減少している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,Nox4 (Nox4-Y572F)とカベオリン (Cav-Y14F),およびCBM欠失変異Nox4(Nox4-ΔCBM)等の変異体を用いて,両者のインスリン依存性結合に対する効果を検討する。これと平行して,質量分析によるNox4のリン酸化部位を決定する。同定されたリン酸化部位の変異体Nox4を発現した3T3-L1脂肪細胞を用いて,インスリンによるH2O2産生に対する効果,GLUT4分解促進に及ぼす効果を検討する。またNox4は構成性活性型であるという報告があることから,Nox4の翻訳後修飾以外の活性促進機構(上述)についても検討する必要がある。これには,Nox4の基質であるNADPH供給源としてのペントースリン酸経路におけるグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PDH)活性がインスリン作用に重要であるとの結果を得たので,G6PDHに対するインスリンの効果も検討する。
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Causes of Carryover |
所属研究室に新任の教授が着任し,研究領域が細胞生物学からエピジェネティクス領域に変わったため,新しい研究室の立ち上げ・整備と,エピジェネティクス領域のプロジェクトにも若干のエフォートを取られたため,本研究で当初予定していたエフォートを割くことができなかったことから,研究計画に若干遅れが生じ,次年度への繰越が生じた。令和2年度は令和1年度に生じた研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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