2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪機能制御とがん抑制能におけるミトコンドリア共役因子DPYSL4の役割
Project/Area Number |
18K08464
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永野 秀和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60788876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 脂肪細胞 / 細胞内代謝 / 酸化的リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
BN/SDS/PAGEによる二次元展開とサイズ分画法を融合したミトンドリア超複合体構成因子の包括的同定とDPYSL4依存的超複合体プロファイル解析を行った。ミトコンドリア超複合体解析の独自ノウハウである生化学的二次元プロファイリングを用いて、DPYSL4が超複合体(I・III・IV complex)に会合することを初めて明らかにした。今後は、電子伝達系の複合体(I~IV)サブユニットの状態と各複合体間の相互作用/高次構造状態を評価し、さらに、ミトコンドリアの高次構造的・構成的情報を定量評価するために、プロテオーム解析手法と高感度LC-MS/MS解析技術を用いた高次元的構造特性と複合体構成因子の網羅的解析を組み合わせて推進する予定である。 細胞外フラックスアナライザーを用いた解析からがんと脂肪細胞において、DPYSL4は酸素消費とATP産生作用を持つことが示された。逆に、siRNAやCRISPR/Cas9によるノックアウトでは酸化的リン酸化を低下させることから、ミトコンドリアでの呼吸調節機能を明らかにした。また、マウスにおける病態モデルから、がんの増殖能や転移能を抑制させ、がん抑制機能も有することも見出した。一方、肥満病態におけるDPYSL4の役割の検討において、ヒト脂肪組織の発現解析を行った。その結果、非肥満者に比べて肥満脂肪組織ではp53陽性細胞数増加とDPYSL4の高発現を認めた。特にDPYSL4の発現はマクロファージマーカー(INFγ、MCP1、CD68)の発現と相関していた。このように、がんと肥満を結ぶ新たなミトコンドリア機能制御因子を発見した。これらの結果は、2018年8月にProceeding of the National Academy of Sciences of the United States of Americaに掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画として、メタボローム解析、酸素消費解析、ミトコンドリア超複合体解析、マウスにおける病態モデル解析の大きく4つの項目で進めている。そのうち、酸素消費解析およびミトコンドリア超複合体解析はすでに行うことができた。マウスにおける病態モデルについては、がん抑制機能を検討するという面において部分的に行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
DPYSL4の脂肪での役割を検討する目的で、脂肪分化に与える影響をin vitroで解析する。具体的には、すでに樹立したCRISPR/Cas9によるDPYSL4ノックダウン脂肪細胞作製の系を用いて、前駆脂肪細胞から脂肪細胞分化誘導時の遺伝子発現の変化や含有脂肪適量の計測による脂肪分化の変化を観察する。また、in vivoでの解析として、マウスにおけるがん抑制能を観察する病態モデル作成を行う。
|
Research Products
(7 results)