2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵β細胞量の調節機構および糖代謝との関連についての包括的検討
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18K08488
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
税所 芳史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90327510)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒト / 膵組織 / 免疫染色 / 内分泌細胞 / β細胞量 / α細胞量 / 肥満 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もヒト剖検および手術膵標本を用いてヒト膵臓の組織学的解析を継続して行っている。近年マウスの動物実験で糖尿病における膵β細胞量の減少の原因としてβ細胞のdedifferentiationや他の内分泌細胞へのtrans-diferentiationが示されているが、こうした変化がヒト膵組織で生じているかは不明である。そこで膵内分泌細胞量の生理的・病的変化を明らかとするため、PP細胞およびδ細胞の免疫染色を行い、肥満や加齢、糖尿病における組織学的変化を検討した。また全膵内分泌細胞量の変化を検討するため、クロモグラニンやシナプトフィジンによる染色も合わせて行い検討を行った。その結果、肥満や糖尿病の状態においてPP細胞量およびδ細胞量には明らかな変化を認めず、またクロモグラニン染色面積およびシナプトフィジン染色面積は糖尿病において減少を認めた。このことから糖尿病患者では主にβ細胞量の減少に伴う総内分泌細胞量が減少していることが示唆された。また膵癌患者における膵内分泌細胞の変化や様々なβ細胞マーカーの生理的・病的状態での変化についても検討を行っている。プレリミナリーな検討では、膵癌患者においてはα細胞/β細胞比が上昇し、β細胞の減少が示唆されることから、今後その機序についてもさらに検討を行う予定である。さらに久山町の剖検例での膵β、α細胞量の検討を行い、結果について現在論文作成中である。これらの結果については国内外の学会にて発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように現在まで研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
特に現時点で研究の進捗に大きな支障はなく、来年度も引き続き現在の組織学的検討を続け、結果について国内外での学会、論文発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
当該年度は海外学会での発表を行わなかったため、未使用額が生じた。次年度では海外学会での発表や論文作成に伴う謝金などの発生、消耗品費の増加も予定しており、次年度使用額として計上した。
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Research Products
(5 results)