2020 Fiscal Year Research-status Report
膵α細胞におけるPKCδ依存性グルカゴン分泌機序の解明
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18K08491
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤本 啓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40372974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グルカゴン / 膵α細胞 / PKCδ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体レベルの実験ではGlucagon-CreERT2マウスとPKCδfloxマウスを交配し膵α細胞特異的PKCδKOマウスを作製した。樹立証明は遺伝子レベルでのgenotyping、またCreの発現によりPKCδの遺伝子が切断されたことで生じるdeletion bandを膵島レベルで確認した。また蛋白レベルではCreの発現をレポーター遺伝子tdTomatoを用い間接的に証明した。そして同マウスの表現型の検討を行った。PKCδは高血糖や脂肪毒性、加齢にて発現が亢進、活性化するとされ、同マウスを通常食と高脂肪食に振り分け、8週齢と24週齢で表現型を検討した。通常食において8週齢では血糖値やグルカゴン値に有意な差は認めなかったものの、24週齢ではグルカゴン値に低下傾向を認め、特にArginine応答性グルカゴン分泌は同マウスではコントロールに比し有意に低下していた。現在は高脂肪食条件下においても同様の検討を行っている。 細胞レベルの実験では、グルカゴン分泌細胞株InR1G9細胞を用い検討を行った。同細胞株にPKCδの特異的阻害薬であるRottlerinを添加したところグルカゴン分泌に低下を認めた。またsiRNAを用いPKCδのノックダウンを行ったところ、同様にグルカゴン分泌は低下した。さらに、同細胞株にArginineを添加したところグルカゴン分泌に上昇を認め、PKCδのノックダウンではそのArginine応答性グルカゴン分泌はキャンセルされた。すなわち、Arginine応答性グルカゴン分泌にPKCδの関与が示唆された。現在は作製した膵α細胞特異的PKCδKOマウスの膵島を用い、同様の実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の原因は2系統の遺伝子改変マウスの交配を追加したことによる。 ①Glucagon-Creマウスを用い作製した膵α細胞特異的PKCδKOマウスのCre発現効率が最大50%であったことにより、発現効率を上げるべくGlucagon-CreERT2マウスとの交配を追加した。その結果Cre発現効率は90%以上に至った。 ②同マウスの樹立証明として膵切片でのPKCδの免疫染色を行ったが再現性が得られなかった。そのため、R26-tdTomatoマウスの交配を追加し間接的に樹立証明を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
生体レベルの実験では高脂肪食条件下で8週、24週で通常食と同様の表現型の検討を行う。評価項目としては空腹時/随時血糖、空腹時/随時グルカゴン値、InsulinやArginine負荷時のグルカゴン値、耐糖能やインスリン抵抗性の評価を予定している。また、膵切片を作製し膵α/β細胞面積比等の検討を行う。 細胞レベルの実験では膵α細胞特異的PKCδKOマウスの膵島を用い、定常状態やArginine負荷時のグルカゴン分泌を検討する。また、グルカゴン分泌にはCaやcAMP、ATP等が関与するとされる。そのため細胞株や同KOマウスの膵島を用いPKCδがこれら分子に影響を与えるかどうかを判断していく。
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Causes of Carryover |
作製した膵α細胞特異的PKCδKOマウスのCre発現効率が低く、より発現効率の高いマウスであるGlucagon-CreERT2マウスとの交配を追加したため、マウスの導入に時間を要し、一定期間研究が滞った。 次年度は作製したマウスのGlucagon値の評価のため、ELISA kitや消耗品等で当該金額を使用する。またマウス維持や学会等への参加・発表に対しても当該金額を使用する。
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