2018 Fiscal Year Research-status Report
インスリンの肝直接作用と脳・脂肪組織を介した間接作用による血糖降下機序の解明
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18K08502
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小野 啓 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10570616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン / Akt / 糖代謝 / 脂肪組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリンは血糖値を低下させるホルモンであるが,個体においてどの臓器にどのような仕組みでインスリンが作用し,その総和,あるいはその相互作用の結果として血糖値が低下するのかは本質的には不明である。本研究ではインスリン標的臓器である肝臓,筋肉,脂肪組織および中枢神経において,それぞれのインスリン作用を強制的に強めたり,あるいは弱めたりすることでそれぞれの臓器のインスリン情報伝達に関与する要素がどのように変化し,それが個体の糖代謝にどのように影響するかを調べている。 その1つとして,本年度は脂肪細胞においてインスリン情報伝達を負に制御する転写因子FoxO1の役割について詳細に調査研究を行った。インスリンはその受容体を活性化し,インスリン受容体基質,PI3キナーゼの活性化を介してAktを活性化する。AktはFoxO1をリン酸化することによりその転写活性を抑制する。一方で,FoxO1を活性化するとAktのリン酸化が増強するという現象が既に報告されているが,脂肪細胞においても認められ,すなわちAktとFoxO1はネガティブフィードバック環を形成していた。脂肪細胞でFoxO1を活性化すると,Aktのリン酸化のみならず,脂肪細胞のブドウ糖取り込み能も増強することを発見した。このことは,少なくとも肝臓では糖産生律速酵素の転写増強を介してインスリン抵抗性を担う分子として知られるFoxO1が,脂肪組織においては逆にインスリン様の作用を引き起こすことを示しており,この分子が臓器によって全く逆の役割を担っている可能性が示唆された。 また,視床下部におけるインスリンの摂食抑制および糖代謝改善作用が,肥満や過食によって障害される,いわゆる視床下部インスリン抵抗性の分子機序について,英文総説を発表した(文献1;本研究課題番号の記載あり)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記載したように,脂肪におけるインスリン情報伝達内のFoxO1-Aktネガティブフィードバック機構の役割を見出し,また視床下部インスリン抵抗性の分子機序について総説論文を発表出来たため,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,個体におけるインスリンの血糖降下作用の真の仕組みを解明するため,中枢神経,肝臓および脂肪組織それぞれのインスリン情報伝達に介入を行い,その表現型を解析する実験を遂行してゆく。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Prolyl Isomerase Pin1 Suppresses Thermogenic Programs in Adipocytes by Promoting Degradation of Transcriptional Co-activator PRDM162019
Author(s)
Nakatsu Y, Matsunaga Y, Yamamotoya T, Ueda K, Inoue MK, Mizuno Y, Nakanishi M, Sano T, Yamawaki Y, Kushiyama A, Sakoda H, Fujishiro M, Ryo A, Ono H, Minamino T, Takahashi SI, Ohno H, Yoneda M, Takahashi K, Ishihara H, Katagiri H, Nishimura F, Kanematsu T, Yamada T, Asano T
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 26
Pages: 3221-3230
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 肝臓および脂肪組織におけるFoxO1-Aktフィードバック機構の機序と役割2018
Author(s)
大野友寛, 小野啓, 濱野陽彩, 武田武治, 栗田健市, 藤城緑, 石川耕, 前澤善朗, 片桐秀樹, 浅野知一郎, 横手幸太郎
Organizer
第55回臨床分子医学会学術集会
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