2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K08504
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高梨 幹生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70610799)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高中性脂肪血症 / リポ蛋白リパーゼ / ホルモン感受性リパーゼ / SREBP1c / インスリン / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は細胞内のトリグリセリド(TG)やコレステロールエステル(CE)を水解するリパーゼである。HSL欠損マウス(HSLKO)ではインスリン欠乏に合併する高TG血症がrescueされることは先行研究からすでに見出している。さらにHSLKOではレプチン抵抗性を来すことをこれまでに報告している(Takanashi M JAT 2017)。本研究は、HSL等のリパーゼと糖尿病との関連を探るものであり、特にdiabetic lipemiaの発症機序、レプチンとの関連、インスリン抵抗性への影響などを探索することで、糖尿病の発症メカニズムの解明やdiabetic lipemiaの制御を目的としている。 2018年度は主にストレプトゾトシン(STZ)によりインスリン欠乏にした際に生じる高TG血症について研究を進めるとともに、ある種の高炭水化物食摂取による脂肪肝形成実験、およびその際の肝臓含有脂質の解析などを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STZによりインスリン欠乏にした際の高TG血症については、これまでも複数回学会などで発表している。しかしいずれも7日間程度の短期の観察結果であり、長期的な影響については未評価であった。HSL欠損マウスは細胞内脂質の水解が困難であることから脂質利用が低下していると考えられ、一方STZ処理下ではインスリン欠乏により糖利用も低下していると考えられる。このような状況下で長期的に飼育した場合の脂肪、筋、肝への影響について解析を進めている。 またHSLKOへのある種の炭水化物食負荷による脂肪肝への影響、その際の肝臓含有脂質の解析、インスリン抵抗性の解析、肝臓での各種遺伝子発現の解析などを進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
STZによりインスリン欠乏にした際の高TG血症の解析については2019年度に一通りの実験を終え、短期条件と長期条件での差異や、その際のエネルギー利用について一定の結論を得る予定である。またdiabetic lipemiaの成因解析についても進めていく。 炭水化物食負荷による脂肪肝の解析についても引き続き研究を推進し、さらなる実験データの蓄積や、分子メカニズムの解明を目指す。当研究室ではLDL受容体欠損マウス、ApoE欠損マウス、ApoA5欠損マウス、SREBP1c欠損マウスなど各種の脂質関連物質の欠損マウスを保有しており、これらとHSLの両欠損マウスなどによる解析も進め、脂肪肝やインスリン抵抗性の成因解明を目指す。 さらに、HSLKOが示すレプチン抵抗性の分子メカニズムの解明を目指すべく、責任遺伝子の探索などを併せて進めていく。
|