2019 Fiscal Year Research-status Report
高脂肪食負荷による心筋障害における新規治療標的としてのM2マクロファージ
Project/Area Number |
18K08505
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
八木 邦公 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (30293343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸辺 一之 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (30251242)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | CD206 / 心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋症の代表的病態である肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM)は、初期には心筋肥大を主徴とするが、中年以降に心筋線維化・収縮不全・心筋の菲薄化が進行し心不全に至る。HCMについてはサルコメア蛋白の変異・発現異常を中心に検討が進んできたが、病態解明は遠い状況であった。 我々は標記の検討を進める中で、局所マクロファージであるM2マクロファージのマーカーであるCD206を遺伝的に欠損したマウスが心筋症のモデルとなることを見出した。従来マクロファージと心機能・心不全は心筋炎を含む炎症や損傷修復との関連での議論しかなく想定外ではあったが、MRI、心エコー、組織での心肥大、BNPおよび心筋線維化関連遺伝子の発現上昇が確認された。 さらにCD206の発現欠損が心肥大および心機能低下を起こす機序の解明が必要と考えられた。心電図上RR変動係数(CVRR)低下が認められ、CD206-/-マウスの心臓が神経細胞との連絡を失っている状態であることが判明した。 さらなる検討の中で、Cx43のmRNA発現はCD206-/-マウスの心筋では亢進が認められた。これはヒトのHCMの初期に観察されることが知られており、不完全なgap junction形成に対する代償反応で細胞間連絡の不全を反映するものと考えられており、標的遺伝子の検索の手掛かりと考えられている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD206の遺伝的欠損による心筋症発症の機序について、分子的標的の検索を進めようとしているところであるが、現時点で従来よりヒトの心筋症について原因と考えられている因子については遺伝子発現、免疫染色等で検討は進み、ほぼ除外されている。その上で心電図所見よりdynsynchronyが特徴として考えられ、さらなる検討を深めるという方向性まで示されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最近心臓局所マクロファージがconnexin43(Cx43)を介する心筋細胞-非心筋細胞および心筋細胞間の連携を通して心拍数の調節に関与すると報告されている(Cell 169: 510-522, 2017.)。またヒトのHCMにおける心機能低下においては心筋細胞間の同期不全により心機能低下が生じ、心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy: CRT)で心収縮能を回復する例が少なくないことが知られている。今後の方針として、1)CD206-/-マウスにおける心筋肥大・心機能障害の発症機序を解明し、有効な治療介入手段を開発すること、2)局所マクロファージ異常症の一環としての心筋症モデルとして確立すること、を目標として検討を継続している。
|
Causes of Carryover |
CD206遺伝的欠損マウスの心筋症進展についての検討で、当初の作業仮説等は逆の方向性の観察が認められ、当初予定していた検討の一部が不要となり、むしろ別な検証が必要とされるなど方向性が変わった部分があり、計画を見直した結果と思われる。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] C-Peptide Area Under the Curve at Glucagon Stimulation Test Predicts Glucose Improvements by GLP-1 Receptor Analogue: A Retrospective Observational Study2019
Author(s)
Ohbatake A, Yagi K, Karashima S, Shima Y, Miyamoto Y, Asaka H, Okazaki S, Kometani M, Kawashiri MA, Takeda Y, Yoneda T, Chujo D.
-
Journal Title
Diabetes Ther
Volume: 10
Pages: 673-681
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-