2018 Fiscal Year Research-status Report
Wolfram症候群によってβ細胞死を引き起こすターゲットの同定と治療法の確立
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18K08517
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田口 昭彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20634744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Wolfram症候群 / 時計遺伝子 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はWolfram症候群によって膵β細胞機能不全をもたらす中心的なターゲットを同定し、難病であるWolfram症候群の治療に役立てることである。我々はWolfram症候群のモデルマウスの解析によって、Wolfram症候群のβ細胞機能不全に至るメカニズムに時計遺伝子E4BP4が介在していることを明らかにした。その後、申請者らが作製したβ細胞特異的E4BP4強発現するマウスのRNA-シーケンス解析や、E4BP4のChIPシーケンス等網羅的解析によって、E4BP4はβ細胞においてATPやCaホメオスターシスに重要なATP2A2の発現を負に制御し、インスリン分泌能を抑制していることが示唆された。これらの結果よりWolfram症候群によって引き起こされるβ細胞機能不全においてATP2A2が中心的な分子であると仮説をたて実験を行った。仮説通り、ATP2A2の活性化薬を用いると、膵β細胞においてインスリン分泌を増強する知見を得るとともに、E4BP4が直接、ATP2A2を制御している知見も明らかになりつつある。順調に仮説通りの結果が得られており、今後も当初計画した実験を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した仮説通りの結果(ATP2A2活性化薬によるインスリン分泌増強効果)を確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
統計学的な有意差が得られるまで、インスリン分泌試験を行う。 インスリン分泌で有意な差が得られれば、ATP2A2活性化薬投与後のラ氏島の形態観察、網羅的な遺伝子発現を確認する。
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Causes of Carryover |
物品費・その他の使用額について 本年度のインスリン分泌実験において、細胞培養にかかるシャーレ、血清、培地、マウスの飼育料、刺激用化合物、インスリンELISAキットの購入費を計上していたが、研究が順調に進んだことにより予定より低額に抑えることができたため未使用額が生じた。この未使用額については平成31年度(令和元年)に計上したRNAシーケンス用の解析試薬、インスリンELISAキットと合わせて使用する。
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