2018 Fiscal Year Research-status Report
脳内NMUシステムのストレス応答ならびに認知機能における新たな生理機能の解明
Project/Area Number |
18K08522
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
花田 礼子 大分大学, 医学部, 教授 (00343707)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 俊勝 大分大学, 医学部, 教授 (10363350)
疋田 貴俊 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (70421378)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 神経ペプチド / ストレス / 脳内高次機能 / 遺伝子改変マウス / 予期不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生理活性ペプチド・ニューロメジンU(NMU)/ニューロメジンS(NMS)システムと脳内高次機能との関連が着目されているものの未だ明らかな結論は示されていない。そこで、我々はNMU/NMS両遺伝子欠損マウス(NMU/NMS dKOマウス)を作製し、予備実験にて脳内高次機能に関わる一連の行動解析実験を行ったところ、恐怖条件付け試験において、NMU/NMS dKOでの明らかな予期不安の増強が認められた。以上から、脳内NMUシステムのストレス応答ならびにストレス負荷時の認知機能に焦点を当てて実験を計画した。初年度はNMU/NMS dKOマウスならびに野生型マウスに対し、ビデオ行動解析システム(SMART)を用いて、慢性拘束ストレス負荷ならびに恐怖条件付け試験などのストレス関連行動実験系の立ち上げを中心に行った。慢性拘束ストレス負荷実験において、NMU/NMS dKOマウスならびに野生型マウスにおけるストレス負荷時の血中コルチコステロン濃度を測定したところ、両マウス系統群において有意差は認めず、慢性拘束ストレス負荷実験では、NMU/NMS dKOマウスと野生型マウスでは、同等のストレスが負荷されていることが判明した。一方、恐怖条件付け試験に関しては、予備実験結果であるNMU/NMS dKOでの明らかな予期不安の増強という結果をもとに、電気刺激によるストレス負荷1日後、1週間後ならびに1ヶ月後における予期不安の減弱を指標に行動実験系をセットアップ中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はNMU/NMS dKOマウスを用いた脳内高次機能に関して、ストレス応答に対する行動解析系のプロトコールを確立することができた。次年度からは今年度に確立した行動解析系を用いて、ストレス負荷後の表現型解析ならびに脳内ストレス関連部位における分子レベルでの解析を行う事が可能となるため、順調に経過していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立したNMU/NMS dKOマウスならびに野生型マウスを用いた恐怖条件付け試験のプロトコールに従って、まずはストレス負荷後の予期不安に関する表現系の検証を行う。その後、ストレス負荷時の脳内標的部位の同定を免疫組織学的に解析する。具体的には、NMU/NMS dKOマウスならびに野生型マウスにストレスを負荷した際に活性化する神経細胞をc-fos蛋白質を指標とした免疫染色法にて同定する。同定された脳内ストレス関連標的部位における神経伝達物質やその受容体の発現量の解析を定量PCR法、ELISA法ならびにHPLCやGC-MSなどを駆使して明確にする。さらに、標的脳部位が確定した際にはその部位における神経の可塑性に関して、Golgi Staining法などにて検証する。標的脳部位におけるストレス負荷時のグリア細胞の浸潤具合やサイトカインレベルなどに関して解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
初年度は行動実験系の確立が主となり、分子メカニズムの解析などは次年度の計画へと変更したため。
|