2019 Fiscal Year Research-status Report
劇症1型糖尿病の成因解明 ーCD300eの関与と新規ウイルス感染関連因子の同定
Project/Area Number |
18K08529
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
今川 彰久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80373108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 吉弥 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (10814569) [Withdrawn]
佐野 寛行 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20556435)
寺前 純吾 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90351395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 劇症1型糖尿病 / CD300e |
Outline of Annual Research Achievements |
1)劇症1型糖尿病患者樹状細胞を用いたCD300eの機能解析:本研究では、劇症1型糖尿病患者群と、その比較対照として、健常群、自己免疫性1型糖尿病患者群、2型糖尿病患者群を設定し、まず健常群の解析を行った。単球、myeloid dendritic cell(DC)、plasmacytoid DCのCD300e発現率は23~97%であった。さらにそれぞれの細胞をCD300e抗体刺激下にて24時間培養を行い、サイトカインの発現を検討したところ、TNFα、IL-1β、IL-10の発現上昇を認めた。現在劇症1型糖尿病患者群の解析も進行しており、健常群との比較検討を行う。 2)ウイルス感染症および急性発症1型糖尿病患者における血中抗CD300e抗体の測定:急性期劇症1型糖尿病患者、インフルエンザ患者、健常者の血清中CD300e抗体価を測定した。その結果、劇症1型糖尿病患者の抗体価が、インフルエンザ患者、健常者よりも高い傾向にあり、同抗体上昇の疾患特異性が一層裏付けらえる結果が得られている。本研究は今後も継続し、検体数を増やす予定である。 3)患者iPS細胞由来膵β細胞モデルを用いた劇症1型糖尿病新規鍵分子の同定:健常人由来iPS細胞および劇症1型糖尿病iPS細胞をINS陽性細胞に分化誘導させ、poly(I;C)トランスフェクションしフローサイトメトリーにてINS陽性細胞のみ単離した。PDL-1、I型IFN、ウイルスレセプター、ISG15等の遺伝子発現を検討した。その結果、いずれにおいて健常人由来iPS細胞と劇症1型糖尿病iPS細胞で有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)の実験に関して、平成30年は実験系の確立、平成31年は健常者のデータ蓄積を目標としていた。現在、健常群での実験が概ね完了し、本格的に患者群で実験を重ねている。 2)の実験に関して、各群20名の抗体価測定を目標としていた。本年度は新型コロナウイルス蔓延のため、追加できたインフルエンザ患者検体は1検体のみで、目標には届いていない。今後も新型コロナウイルスの影響でインフルエンザ患者検体の獲得が難しい場合は、進捗が遅れる可能性がある。しかし、劇症1型糖尿病検体(血清)は収集されているため、インフルエンザ患者検体が集まり次第、一括して解析する。 3)の実験に関して、平成31年度は計画通り、健常人由来iPS細胞3クローンおよび劇症1型糖尿病iPS細胞3クローン由来INS陽性細胞にpoly(I;C)をトランスフェクションし、フローサイトメトリーにてINS陽性細胞のみ単離し、病態に関係すると考える複数の遺伝子発現を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を中心に、次年度は以下の検討を行う。 1)劇症1型糖尿病患者樹状細胞を用いたCD300eの機能解析:健常者を対象に構築された実験系を用いて、対象を劇症1型糖尿病患者、さらに患者背景をマッチさせた自己免疫性1型糖尿病患者、2型糖尿病患者の解析を始めている。4群間における単球・樹状細胞上に発現するCD300e分子発現量の相違、さらにCD300e抗体刺激による反応性の違いを、IL-1β、IL-10、TNF-αの遺伝子発現量および分泌量から解析し、同分子が疾患に与える影響を解明する。 2)ウイルス感染症および急性発症1型糖尿病患者における血中抗CD300e抗体の測定:インフルエンザ患者検体の収集に努め、解析を行う。劇症1型糖尿病発症時の経過(感冒様症状の有無など)と抗体価との関連を統計学的手法により明らかとし、さらに対照となるインフルエンザ患者のものと比較することによって、劇症1型糖尿病発症初期に確認されたCD300e抗体価の上昇が、疾患特異的なものか、先行するウイルス感染を反映したものかを解明する。 3)患者iPS細胞由来膵β細胞モデルを用いた劇症1型糖尿病新規鍵分子の同定:収集したRNAを用いてさらに候補遺伝子を追加し、その発現を検討する。得られた候補分子について、MIN6細胞に遺伝子導入する手法を用いて、その機能を明らかにする。 これらの方策は研究代表者のもと、研究分担者、大学院生やポスドクを組織して推進していく。研究成果については学会発表、論文発表などを通じて発信していく。
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Causes of Carryover |
(理由)ほぼ計画通りであったが、一部実験計画の変更が生じたため。具体的には検討する発現遺伝子の種類を変更した。 (使用計画) 遺伝子発現量測定のためのキットなど、計画にしたがって物品費として使用する。
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Research Products
(1 results)