2018 Fiscal Year Research-status Report
Identification of molecular mechanism underlying inflammatory-related carcinogenesis through activating the stroma in gastric cancer
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18K08543
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三宅 慧輔 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), リサーチスペシャリスト (10814759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00594889)
有馬 浩太 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (10792616)
泉 大輔 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60594877)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 副医長 (70583045)
日比 泰造 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10338072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症 / 胃癌 / 繊維芽細胞 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症による癌細胞と間質細胞の反応性の比較解析に基づいて、胃癌発癌・進展メカニズムに関わる間質細胞由来因子を同定することを目的に研究を行っている。 まず初めに、胃癌細胞と繊維芽細胞および炎症性サイトカイン(IL-1a、IL-1bおよびTNF-a)の産生源として知られるマクロファージの3種共培養を行った。その結果、胃癌細胞単独培養群より線維芽細胞、マクロファージとのそれぞれの2種共培養群で増殖能、浸潤能ともに亢進し、3種共培養群でさらなる上昇が見られた。しかしながら、胃癌細胞に対して直接炎症性サイトカインのリコンビナントプロテイン刺激を行っても増殖能、浸潤能の上昇を示さなかった。 そこで炎症性サイトカインが繊維芽細胞を刺激し、活性化された繊維芽細胞が胃癌細胞の増殖、浸潤能を亢進する可能性を検討した。まず炎症性サイトカインのリコンビナントプロテインで繊維芽細胞を刺激し、その培養上清を得た。この培養上清で胃癌細胞の培養を行うと、未刺激繊維芽細胞の培養上清に対して増殖能の上昇が見られた。またこの条件下の胃癌細胞でSTAT1/3シグナルが活性化していた。炎症性サイトカインで活性化された繊維芽細胞は分泌タンパク質を介して胃癌細胞の増殖を亢進していると考えられた。 次に分泌タンパク質を同定するためRNA-Sequencingによる遺伝子発現解析を行った。胃癌細胞と比較して、繊維芽細胞の方が炎症性サイトカインによって多くの分泌タンパク質遺伝子が誘導されることがわかり、STAT1/3シグナルを活性化させる可能性のある分泌タンパクとしてIL-6、IL-24、LIFが候補にあがった。実際に胃癌細胞に対してこれらの刺激を行うと3つとも胃癌細胞の増殖能を亢進させた。 これらの結果から炎症性サイトカインは繊維芽細胞を活性化させ、IL-6、IL-24、LIFの分泌を介して胃癌細胞の増殖を促進するメカニズムを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画のうち、第1段階:炎症性サイトカイン刺激に対する反応性の検討、第2段階:炎症性サイトカイン刺激に対する遺伝子発現変化の検討については概ね終了しており、現在、第3段階の胃癌進展に関わる間質由来因子の同定について進行中である。その中で胃癌の増殖能促進メカニズムについては胃癌細胞の増殖能を亢進する間質由来因子の同定は完了しており、実際に胃癌細胞の増殖を促進する確認まで終了している。 今後は、浸潤能促進メカニズムについての解析であるが、生体内に近い環境を模した三次元3種共培養の実験系を確立しており、これによって胃癌の浸潤能促進メカニズムを解明していく。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌進展に関わる間質由来因子の同定の中で、増殖促進のメカニズムは同定できたが、浸潤能についてはまだ未検討である。今後は浸潤能についても、RNA-Sequencingのデータを用いて間質細胞により活性化される胃癌浸潤シグナルの解析を行い、続いて阻害剤を用いた抑制実験で間質細胞による浸潤能亢進メカニズムを明らかにしていく。 また、生体内での評価として引き続きIn vivo腫瘍モデルにおける間質由来因子の検討を予定している。間質細胞のRNA シークエンシングで得られた候補遺伝子の過剰発現株を作成し、胃癌細胞とともにヌードマウスへ移植し、間質細胞による腫瘍形成促進を評価し、候補遺伝子が胃癌進展に与える影響について検証する。
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Causes of Carryover |
試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。試薬、消耗品の購入費、及び、研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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