2018 Fiscal Year Research-status Report
トリプルネガティブ乳癌の免疫応答を制御するSOCS1を標的とした新規治療法の開発
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18K08551
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
井本 滋 杏林大学, 医学部, 教授 (10193690)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / SOCS1 / 術前化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度としてトリプルネガティブ乳癌(TNBC)におけるSOCS1(suppressor of cytokine signaling 1)のmRNA発現について検討し、以下の結果を得た。 1)術前化学療法を施行したTNBC 17例におけるreal time qPCRによるSOCS1mRNAの発現解析を行った。アンスラサイクリン系・タキサン系レジメンによる治療後、摘出標本の残存腫瘍について病理学的効果判定を行った。その結果、奏効群6例では非奏効群11例に比して、SOCS1mRNAの発現が有意に低値であった。 2)術前化学療法を施行したTNBCを含む初発乳癌55例について免疫組織染色によるSOCS1の蛋白発現について検討した。化学療法のレジメンは上記と同様であり、摘出標本の残存腫瘍について病理学的効果判定を行った。その結果、奏効群24例と非奏効群31例についてSOCS1の蛋白発現に差を認めなかった。現在、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)など腫瘍周囲の宿主免疫応答を含めて解析作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
術前化学療法が奏効したTNBCにおいてSOCS1mRNA発現の低下を認めたことから、宿主免疫応答を誘導する際のSOCS1の重要性が示唆された。また、SOCS1蛋白発現におけるサブタイプとTILによる術前化学療法の奏効の差異についても検討することで、TNBCと他のサブタイプによるSOCS1発現の臨床的意義を解明していく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度はSOCS1がTNBCにおいて免疫寛容を誘導できるかどうかをヒト乳癌細胞株とT細胞との両面共培養システムにより検討する。方法として、サイトカインによるT細胞の活性化とsiRNAによるSOCS1のノックダウンによる細胞増殖に及ぼす影響を検討する。さらにマクロファージのpolarizationの観点からも検討する。さらに、令和2年度はTNBC細胞株による xenograftモデルを作成し、SOCS1の阻害試験により治療への寄与について検討する。
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Causes of Carryover |
初年度の研究費として物品費と人件費・謝金について予定使用額を下回ったが、2019年度予定の実験系における物品費に充填する予定である。
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