2018 Fiscal Year Research-status Report
BRCA2における新しい生殖細胞変異による遺伝性乳癌発症機構の解明
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18K08557
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中村 力也 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (50456026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 左奈 千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター, 部長 (30372452)
山本 尚人 千葉県がんセンター(研究所), 乳腺外科, 部長 (40506169)
末永 雄介 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ 発がん制御研究部, 研究員 (80581793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳癌 / 遺伝性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌抑制遺伝子BRCA2の変異は乳癌・卵巣癌の発症率を高め、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)を引き起こす。最近、我々は家族歴を有する乳癌患者から新規のBRCA2変異を発見した。この変異は家族内で遺伝し、変異を持つ姉妹は乳癌を発症していた。変異の位置はBRCA2のDNA結合に必須なドメイン上にあり、アミノ酸置換を起こす。本研究ではこの新規変異が、BRCA2機能を抑制するかを生化学的に検証する。また、ゲノム編集法を用いて新規変異を持つノックインマウスを作成し、遺伝性の乳癌・卵巣癌が発症するかを検証する。具体的には、BRCA2変異体の①タンパク質安定性の解析、②機能調節因子の結合能の解析、③相同組替え能の解析、④BRCA2新規変異ノックインマウスの発癌解析、の4つの項目を期間内に行う。本研究により変異の意義が明らかになれば、新たなHBOC患者群を見出すことにつながり、治療の選択肢を増やすことで生存率の改善に寄与すると期待される。 2018年度は、BRCA2変異体のタンパク質安定性の解析をすすめた。DSS1はBRCA2と結合し、BRCA2を安定化する。そこで、この新規変異をBRCA2野生型に組み込んだBRCA2変異体を作成し、内在性DSS1が発現する293T細胞に過剰発現した。細胞を回収し、Western blotting法によりBRCA2タンパク質発現量を、野生型と変異体で比較した。その結果、BRCA2変異体においてタンパク発現量の低下は認められなかった。また、細胞からRNAを抽出し、RT-PCR法によってBRCA2のRNA発現量を野生型と変異体で比較した。その結果も、BRCA2変異体においてRNA発現量の低下は認められなかった。以上から、この新規変異による、BRCA2タンパク質の不安定化は生じないと考えられた。そこで、来年度はこの新規変異体がDSS1との結合に影響を及ぼすかどうかを解析する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BRCA2は27個のエクソン、3418個のアミノ酸からなる分子量約384kDaの巨大タンパク質である。一般的に巨大タンパク質は遺伝子配列も長大でもあるため、クローニングや変異体の作成に時間を要した。しかし、BRCA2野生型および新規変異体の作成は完了し、予定どおりタンパク質の安定性の評価を終えた。 以上より概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も、研究計画に沿って解析を進める。BRCA2遺伝子の新規変異がDSS1の結合に影響するかを調べる目的で、免疫沈降実験を行う。また、BRCA2変異体の相同組替え活性を、Direct-repeat GFP法により測定する。
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Causes of Carryover |
BRCA2は27個のエクソン、3418個のアミノ酸からなる分子量約384kDaの巨大タンパク質である。一般的に巨大タンパク質は遺伝子配列も長大でもあるため、クローニングや変異体の作成に時間を要した。
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