2019 Fiscal Year Research-status Report
ω3系脂肪酸の肝庇護作用と脂質プロファイル網羅的解析による肝障害の新規治療戦略
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18K08563
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
森井 真也子 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (10375280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛇口 琢 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (20375281)
渡部 亮 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (80638255)
吉野 裕顕 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (90182807) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ω3系脂肪酸 / 胆汁鬱滞 / 短腸症候群 / 腸管機能不全合併肝障害 / 脂質プロファイル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、魚油由来脂肪乳剤の腸管不全合併肝障害(intestinal failure-associated liver disease : 以下IFALD)に対する有効性が報告されている。申請者らは本剤を投与した新生児発症IFALD症例の脂肪性肝炎・肝線維化の改善を報告し(森井ら、小児外科、2016)、また本症例の血漿を用い、92種類の脂肪酸およびその代謝産物について液体クロマトグラフィー質量分析計(3連四重極型)を用いて解析し、複数の脂肪酸代謝産物が正常コントロールの4~10倍に増加していることを見出しOmegaven-induced-factors(OIFs)と名付けて報告した(森井、第49回日本小児外科代謝研究会)。肝細胞に対して、本剤を投与した臨床例より、脂肪滴中の脂肪代謝および、胆汁酸生合成・分泌が促進していること予想されたので、これを検証した。具体的には、リノール酸を添加し脂肪滴を形成した肝細胞に対して、FBSを含まない低グルコース培地による細胞飢餓刺激を加え脂肪滴の消失過程を評価し、OIFが細胞内でいかなる伝達系を介して脂肪滴代謝や胆汁分泌に関与するのか胆汁酸合成にかかわるP450酵素群、胆汁分泌にかかわるABCトランスポーター群、脂質合成転写因子、脂質代謝・合成酵素、脂肪滴構成にかかわる因子について、また、これらを制御する核内受容体群(FXR, LXR, Pparα, Pparγ, Rxra)について、mRNAの発現量を測定した。OIFsはマウス初代培肝細胞において協力な胆汁酸合成関連因子の発現を強力に誘導することが確認された。この結果について the Pacific Association of Pediatric Surgeons、 53rd Annual Meetingにおいて発表予定であったが、現状の移動規制のため本年の秋に研究会が延期されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった胆汁酸排泄調節と脂肪滴生成・代謝に関する実験を継続している。脂肪滴生成・代謝に対するOIFsの優位性はいまだ確立していないが、胆汁酸代謝に対する優位性は明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪性肝炎の克服に向けて脂肪滴代謝に脂質プロファイル変化が与える影響についてさらに検討を深めると同時に、明らかとなった胆汁酸産生促進作用について論文発表の準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたヒト肝細胞を使用せず、マウス初代培養細胞を用いて研究を進行しているため、若干予算が次年度に繰り越された。今後検証実験を繰り返す予定である。
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