2019 Fiscal Year Research-status Report
肝星細胞制御による肝移植後グラフト内肝癌再発抑制機構の解明
Project/Area Number |
18K08573
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
居村 暁 徳島大学, 病院, 特任教授 (90380021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常山 幸一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10293341)
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任准教授 (20398019)
岩橋 衆一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (30531751) [Withdrawn]
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 特任助教 (50548675)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 腫瘍微小環境 / 肝星細胞 / 肝移植 / 再発 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝癌の進展課程における肝星細胞の役割解明 1.肝癌細胞の肝星細胞への影響(肝癌細胞株:Huh-7、HepG2 肝星細胞株:LX2) 肝癌細胞のcondition medium (CM)で肝星細胞を培養することで、cancer-associated fibroblast (CAF)のマーカーであるFAPのmRNAの発現上昇を認めた。初年度の結果から、肝癌細胞と肝星細胞の共培養により肝癌細胞のviability、遊走能は上昇し、上皮間葉転換(EMT)が増強すること、さらにはstemnessを獲得することで肝星細胞が肝癌細胞に対して悪性度上昇、転移促進といった作用を有すると考えられ、これにCAFが関与することが示唆された。 2.肝癌細胞により誘導されたCAFのmacrophage (MΦ)への影響(単球細胞株:THP-1) 肝癌細胞により誘導されたCAFのCMでM0 MΦを培養すると、tumor-associated MΦ (TAM)のマーカーであるCD163の発現上昇を認めた。また、培養上清中のVEGF分泌増加も認めた。TAM由来VEGFが癌細胞のEMTを誘導することが腫瘍の悪性度上昇に関連することが示唆された。 以上より、肝星細胞は肝癌細胞によりCAFへ誘導され、IL-6を分泌し、肝癌進展におけるIL-6-Stat3経路を活性化することでEMT誘導、癌増殖、stemness獲得に作用すること、CAFがM0 MΦをM2 MΦ (TAM)への極性誘導を促進し、TAM由来VEGFが癌細胞のEMTを誘導することにより、肝癌の腫瘍微小環境における癌細胞-CAF-TAM interactionを形成することを明らかにした。肝星細胞を制御することにより癌細胞-CAF-TAM interactionを攻略し、腫瘍微小環境治療のブレークスルーとなり、肝移植後肝癌再発抑制機構の解明につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞癌の腫瘍微小環境において肝星細胞が果たす役割の解明が本研究の重要課題である。肝星細胞は肝癌細胞によりCAFへと誘導され、IL-6-Stat3 pathwayを活性化することでEMTの誘導、stemness獲得に作用すること、CAFがM2型macrophage(TAM)を誘導し、TAM由来のVEGFが癌細胞のEMTを誘導することにより、肝癌細胞の腫瘍微小環境におけるcancer cell-CAF-TAM interactionを形成していることが確認できたことは腫瘍微小環境と腫瘍悪性度との関連を明らかにするために有用な知見と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
肝癌ニッチとしての肝星細胞の肝癌進展・転移における機能解析(包括的遺伝子・蛋白発現解析)および肝星細胞を制御することによる機能回復・異常機能修正機構、肝癌進展・転移抑制に関する研究を進めていく。具体的には、活性化肝星細胞が肝癌細胞の転移先臓器への着床、増殖を促進するという仮説のもと、TU100、PPARγリガンド等を用いた肝星細胞の制御により、肝癌増殖能や転移能に関して、肝移植後グラフト内再発をイメージしたモデルで肝癌転移が抑制可能かどうか検証する予定である。
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Research Products
(7 results)