2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞極性制御複合体Exocyst-Par3の機能解析と乳がん治療への応用
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18K08574
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
福田 尚代 (西田尚代) 関西医科大学, 医学部, 助教 (00802703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 信治 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (70398238)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | exocyst / Par3 / 細胞生存 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞極性の消失は多くのがん組織で認められており、がん細胞の悪性度を判断するための1つの指標となっている。細胞極性因子Partitioning defective 3 (Par3)は、乳がん細胞で発現が低下しており、予後不良と関連している。近年、繋留因子exocyst複合体がPar3と結合することで乳腺細胞の細胞生存を制御している事が報告された。しかし、その詳細な分子機構は不明な点が多く、さらなる解析が求められている。 本研究は、ヒト正常乳腺上皮細胞株MCF10Aを用いて、細胞極性形成過程におけるexocystの局在解析および機能解析を行い、Par3-exosyt複合体の下流で動く因子およびそれらのシグナル経路を同定する事を目的としている。これまでに、exocystの細胞内局在解析および機能解析のために、CRISPR/Cas9システムによるexocyst-GFPノックイン細胞株の樹立を進めてきた。exocystは8つのサブユニットから成る複合体であるが、Sec3, Sec5, Sec6, Sec8, Exo70の5つのサブユニットの可視化はすでに完了している。残りのサブユニットSec10, Sec15, Exo84は、N末端またはC末端へのGFP融合後に、細胞増殖不全が起こる事がわかっていた。そこで、GFPよりもサイズの小さなペプチドタグV5, HAなどの標識に変更する事により、GFPとの融合によって予想される立体障害によるexocyst複合体の機能不全を回避することを計画した。その結果、Sec10-HA, Sec15-HA, Sec15-V5, Exo84-HAなどのノックイン細胞株樹立に成功した。現在、これらの細胞株を用いて細胞極性形成過程におけるexocystの局在解析および機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
短いペプチドタグ挿入のノックイン細胞株樹立に時間がかかってしまったため。また、3次元培養法の改良が必要となり、条件検討を行っていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに樹立したノックイン細胞株を用いる事で、これまで明らかにされていなかったexocystサブユニットの詳細な細胞内局在解析の見通しが立った。また、共通施設に導入されたDragonflyシステムが導入されたため、スピニングディスクによる高速撮影、およびSRRFによる高解像度画像撮影が可能となった。そこで、3次元培養による細胞極性因子の微細な細胞内局在解析に加えて、タイムラプス撮影による時空間解析も合わせて計画している。
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Causes of Carryover |
解析に用いるノックイン細胞株の樹立に時間がかかった事で、予定していた実験が次年度に持ち越されたため。また、研究打ち合わせの中止、学会のオンライン化によって、旅費が不要となったため。 新たに樹立したノックイン細胞株を使い、今回改良した3次元培養法によって、acini様構造を形成させ、タグ抗体を用いて免疫染色により詳細な細胞内局在解析を行う予定である。必要に応じて、免疫電子顕微鏡法を使った細胞内局在解析も行う。また、GFPノックイン細胞株はDragonflyシステムを利用したタイムラプス解析を行う事を計画している。
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