2018 Fiscal Year Research-status Report
ドナー特異的抗体(DSA)制御に向けたHLA産生B細胞への多角的アプローチ
Project/Area Number |
18K08584
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
野田 貴幸 愛知医科大学, その他部局等, 薬剤師 (50817088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010)
岩崎 研太 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10508881)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | B細胞培養 / ヒト化マウス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制剤の進歩により腎移植ではT細胞性拒絶反応はほぼ克服されたが、長期生着については改善傾向にない。特に慢性抗体関連型拒絶反応の早急な対策が求められ、ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)の早期検出は臨床的に重要な課題となっている。この問題を解決するために、末梢血B細胞から形質細胞までの分化誘導するin vitro培養システムの樹立とDSA産生マウスモデルの作製することが本研究の目的である。 まず、培養系で末梢血単核細胞(PBMC)から形質細胞まで分化誘導を試みた。健常人PBMCにおいてIL-2,IL-10, IL-21,R848を用いた培養法により、培養上清にIgG産生を認めた。さらに、移植患者PBMCでは、Luminex法によりHLA抗体を検出することができた。血清と同程度のMFI値を示す症例も存在した。HLA抗体は血清中MFI高値の移植患者PBMCを用いたin vitro培養系で検出される傾向があった。しかし、すべての移植患者でHLA抗体が検出されるわけではなかった。 そこで次に免疫不全マウスを用いてDSA産生ヒト化マウスモデルを作製し、DSAの早期検出・診断法の確立を開始した。健常人PBMCを尾静脈より移入し作製した。ヒト細胞の生着はflow cytometryで、マウスの生存は体重減少と脱毛を判定指標とした。マウス末梢血中のヒトCD3陽性細胞が著明に増え、GVHD発症との関連を認めた。一方、CD19陽性細胞は顕著な増加はみられなかった。PBMC移入によりヒト免疫細胞の再構築が確認されたマウスにおいて、HLA型の異なる健常人PBMCで感作したところ、全例でヒトIgG抗体が検出された。その一部は、DSAであった。現在、検出されたHLAアリルの解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro末梢血B細胞培養系によるDSAの検出は健常人検体での検討のみならず、多くの患者検体を用いた測定を行い、血清と同程度のMFI値を示すHLA抗体を検出できるレベルまで検出法を向上できた。 DSA産生ヒト化マウスの作製においては当初の計画より少し時間がかかったが、一部、DSAが検出されたことから、現在、その再現性とHLAアリルの解析を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
DSAを産生するヒト化マウスの作製に成功した。しかし、その再現性が安定しないことが予想される。その理由としては、免疫細胞の成熟に重要な役割を果たす微小環境はマウス由来であることが考えられるため、PBMCをあらかじめ培養を行い、マウス内へ移入する方法を計画している。 また、マウス体内でのヒト免疫細胞の再構築は造血幹細胞を移入、分化させることにより高率的に生着がみられるとの報告があることから、レシピエントCD34陽性細胞を移入する方法も模索していく予定である。
|
Causes of Carryover |
B細胞培養に必要な培養液に加える各種サイトカイン、またヒト化マウス作製に必要な免疫不全マウスの購入、飼育に必要な食餌、B細胞分化(活性化B細胞、形質芽細胞、形質細胞)を検出するFlow cytometry に用いる蛍光標識された抗CD38、CD138抗体、IgG抗体の検出(ELISA)、血清中のHLA抗体特異性検査(Single antigen beads)の試薬購入費に充当し、精力的に検体の解析を進めていく予定である。
|
Research Products
(3 results)