2023 Fiscal Year Annual Research Report
Non operative approach for breast cancer by therapy-induced tumor dormancy
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18K08585
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
重松 英朗 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (40543707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 慎治 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10558266) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 術前薬物療法 / 乳癌 / 腫瘍微小環境 / Peritumoral edema |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳癌薬物療法によるdormancy導入の機序解明を目的として、術前化学療法が施行された早期乳癌を対象に腫瘍微小環境因子と予後との相関を検討した。 今年度の研究では腫瘍微小環境として乳腺腫瘍周囲浮腫(PE: peritumoral edema)に着目し、臨床研究および基礎研究を進めた。乳房MRIのT2強調像にて腫瘍周囲や乳腺後隙のhigh intensityを伴うものをPEと判定し、術前化学療法前のPE(pre-PE)と術前化学療法後の遺残PE(residual-PE)を評価した。pre-PE陽性乳癌におけるrPEと無再発生存期間(RFS)と全生存期間(OS)との相関を検討した。術前化学療法が施行された早期乳癌128例中、PE陽性乳癌を64例に認め、22例にrPEを認めた。rPEはRCBと有意な相関を認めた。Cox回帰解析において、rPEはRFSおよびOSの有意な予後不良因子であった。術前化学療法が施行された早期乳癌において、rPE評価により予後の層別化が可能となる結果であった。本研究結果は第31回日本乳癌学会学術総会およびSABCS 2023で発表し、英語論文を提出中である(under revise)。 PE陽性乳癌における病理組織学的検討では、乳房腫瘤の圧排性増殖、血流鬱滞、脈管侵襲および膠原繊維の沈着所見を認めた。PE乳癌における腫瘍微小環境評価として術前化学療法前後のTumor infiltrating lymphocytes、腫瘍関連線維芽細胞やマクロファージの発現をIHC法にて検討し、PE陽性乳癌では陰性乳癌に比較してこれらの免疫関係細胞の発現の増加傾向を認めた。 早期乳癌においてPEは予後不良因子であり、腫瘍微小環境と相関する可能性が示された。乳癌におけるPEは新たな治療標的となる可能性があり、今後はPE消失を目的とした治療戦略が期待されるものと考える。
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