2019 Fiscal Year Research-status Report
Derivation of human iPS cell derived hepato-biliary organoids with bile acid secretion
Project/Area Number |
18K08589
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小川 真一郎 信州大学, 医学部, 特任教授 (30419353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 雄一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60467149)
小山 誠 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80712778)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胆管細胞 / 一次繊毛 / Mechano-sensor / Ca2+シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
従来のiPS細胞由来胆管細胞では機能的な一次繊毛(以下Primary cilia)についての詳細な解析が不十分であるため、本研究に対応する胆管の生理的な機能に着目した。 Primary ciliaは肝臓内では胆管細胞のみに発現し、内腔に突出する形で一本の毛のように存在する。胆汁の流れに応じて、胆管自身の様々なトランスポーターが変化する機序(Mechano-sensor)に関しては未だに不明な点が多く、今回、iPS細胞由来胆管細胞を用いてその作用についても詳細な検討を行った。 Ca2+シグナルは細胞内伝達シグナルとして様々な機能を調整することがしられており、胆管内での Ca2+の変化を可視化するため、GCaMP(カルモジュリンとGFPの融合蛋白)を遺伝子導入したstem cell由来胆管細胞を用いて解析を行った。ATPの培養液添加に伴い、細胞内のCa2+の活性をGFP蛍光として捉えることに成功した。次に、ペリスタポンプを用いた流路培養系を構築し、同細胞にポンプを用いて一定の流れを作り出し、細胞内に与える変化を検討した。Primary ciliaを発現していない未成熟な胆管細胞、肝前駆細胞では流体刺激に伴う Ca2+signalの発現は確認できなかったが、Primary ciliaの発現を伴う成熟化された胆管細胞では、その刺激に伴うCa2+の活性が確認された。またその活性は流路刺激のスピードに依存していた。また、細胞を固定せず、ライブイメージ化コンフォーカル顕微鏡を用いて、流路刺激化でPrimary ciliaが横たわる現象(Bending)も確認できた。昨年から現在までの成果をまとめNature communicationsに投稿中である。さらに、このように成熟化したiPS細胞由来胆管細胞を肝細胞とハイドロゲル状に共培養を行い胆管構造を伴った組織を現在作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文投稿のため、今回新たに胆管細胞の分化誘導に成功後、一次繊毛を伴う成熟化した機能的な胆管細胞のin vitroでの機能評価に多くの時間を費やして、残念ながら肝細胞との共培養系の構築にたいする詳細な検討に時間を費やすことが難しい状況であった。しかしながら、現在までの成果として、一次繊毛を伴う胆管細胞は高いCFTR・ Cl-イオントランスポーター活性を有し、また、生理的機能の一つである、流れを感知しそれに伴い、 Ca2+,CFTR活性も上昇するということを見出し、流路培養系の構築にも成功しており、論文も現在査読中である。この成果をもとに現在は肝細胞が存在する条件で胆管の生理機能を感知する方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
残された1年を用いて、胆管ー肝細胞との共培養系を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は論文投稿に伴う実験を主体にしており当初予定していた計画より若干の遅れが生じた。本年度は最終年となるため、目標の到達に努力する。次年度使用額は令和2年度請求額とあわせて、iPS細胞由来肝細胞、胆管細胞の共培養系の構築にかかる培養マテリアルの購入費および、動物実験における免疫不全マウス購入費として使用する計画である。
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